誓約書とは
浮気した側、浮気相手に書かせる書面を誓約書と言います。
契約書と似ているようですが、誓約書は一方的な意思表明をする書面を指します。
浮気のケースであれば、
- 浮気を認めたという事実やその内容
- 今後は浮気をしないという意思表示を示す
- 浮気相手と一切会わない
- 慰謝料と支払期限
- 約束が守られなかった場合の違約金や離婚協定に応じる旨
などの記載が一般的です。
また、これらの内容は浮気された側が文面を作成し、それを自身のパートナーや浮気相手に提出、サインさせます。
そうすることで相手は書面に書かれた内容が事実だと認めたことになります。
書面なしに上記のことを口約束すると、後々言った、言ってないなどのトラブルになる可能性があるため、書面を残し客観的な証拠として保存しておくことをおすすめします。
しかし、一方的に無理やりサインさせたり、サインに応じなかった場合は会社に通報するなどの行為があった場合には刑法223条の強要罪や刑法204条の傷害罪に当たる可能性もあります。
あくまで両者合意のもと、誓約書にサインしてもらう必要がありますので、ご注意ください。
誓約書には法的拘束力はありませんが、裁判する際の証拠として提出することができますので、非常に重要な書面になりえます。
誓約書を書いた方が良い理由3つ
先ほども少し触れましたが、誓約書を書いた方が良い理由を3つご紹介します。
言った言わないを防ぐため
口では「浮気は二度としません」「慰謝料払います」と言っても、自分に都合の悪いことには蓋をしたいもの。
そのため、口約束で浮気に対する慰謝料を支払うことを約束しても、「そんなは約束してない!」などと言われてしまえばそれまでです。
このようなトラブルを避けるためには、客観的でかつ相手が浮気の事実や約束事を認めた証拠が必要です。
再度浮気をさせないため
誓約書には、再度浮気をした場合のペナルティを記載することがほとんどです。
「慰謝料〇〇円を支払う」、「再度浮気をした場合は慰謝料を支払う」、「浮気が発覚した場合は、離婚調停に応じる」
などを書面に示すことで、相手にプレッシャーを与えることができます。
裁判の重要な証拠になるため
誓約書の約束が守られなかった場合、裁判をすることを検討する方もいらっしゃいます。
裁判では、この誓約書が重要な証拠となります。
浮気をした当人が誓約書に書かれた事実、内容や約束に違反した場合の対応などに同意をし、サインをしているため、客観的な証拠として認められます。
浮気を防止する誓約書の書き方のポイント
誓約書で抑えるべき内容は先ほどご紹介しました。
浮気を認めた事実や内容を記載し、今後一切相手と会わず、また浮気も行わない。
誓約書の内容や約束に反した事実があった場合はペナルティに応じる旨を記載します。
しかし、誓約書は内容によっては、裁判の証拠として使えなくなる可能性もあるため、しっかりと重要な項目を抑えたいです。
例えば、「再度浮気をした場合は、慰謝料2000万円を支払う」など慰謝料の相場からかけ離れた金額をペナルティとすると、誓約書の効力が認められない可能性もあります。
しっかり効力を持たせる誓約書にするために、記載する内容が大事になってきます。
その内容と書き方をお伝えします。
誓約書テンプレート・例文
まず先に誓約書の例文からご紹介します。
具体的にどのような内容を記載するべきかは後述します。
甲(H川S大)は乙(H田Y子)について、下記の通り合意したことを示す。
- 甲は乙に対し、下記内容の事実を認め、謝罪する
- 甲は2023年1月から2023年8月の間に、T中S子(以下、丙とする)と継続して複数回の不貞行為を行った
- 甲は乙に対し、甲丙間における関係を解消し、いかなる連絡手段(電話、メール、SNS等)を通じて連絡しないことを約束する
- 甲は乙に対し、丙を含む第三者間で不貞行為を行わないことを約束する
- 甲は乙に対し、本誓約書に記載の内容に違反があった場合は、金200万円の支払いと乙からの協議離婚請求に応じることを約束する
誓約書のタイトル
「誓約書」、「示談書」などその文面がどのようなものを示すか分かれば十分です。
分かりやすくするために「〇〇との不倫関係に関する誓約書」としてもよいでしょう。
浮気をした事実
誰が、いつ、どこで、何をしたか、事実をまずは記載します。
例文ではどこで不貞行為、浮気の事実が認められたか書いていませんが、場所が特定できているのであればその旨も併せて記載するとよいでしょう。
浮気相手と二度と合わない旨
浮気相手と今後一切連絡を取らず、会わないことの約束について記載します。
しかし、同僚や取引先と浮気している場合は、「仕事関係での連絡を除く」など一文加えるようにしてください。
誓約書に違反した場合
誓約書に違反した場合のペナルティについても記載します。
今回の例文では慰謝料「金200万円の支払い」がそれに該当します。
慰謝料は状況によって金額が変わりますが、約50万円~300万円ほどとなっています。
誓約書の書き方のポイントで、相場からあまりにも離れた金額の請求は誓約書としての効力を持たなくなる可能性もあるため、妥当な金額を記載するようにしましょう。
ペナルティについて
誓約書を書くきっかけになった浮気に対して、慰謝料などペナルティを課す場合は、その旨も記載します。
例えば、「金100万円を2023年12月末日までに一括で支払う」このような文面を入れるようにしましょう。
ポイントは3つです。
- 支払期日
- 支払い方法
- 支払先
一括でも分割でも、何年何月何日までに誓約書に記載の金額を振り込むのか、明記しておきましょう。
また、銀行での振り込みの場合は、振込先金融機関名、支店名、口座の種類、口座番号も明記しておきます。
両者のサイン欄
両者が本誓約書に合意しました。という証拠を残すために、文末に両者の名前と、押印欄をつけましょう。
誓約書の内容が不安なら第三者へご相談を
これまで誓約書について、書くべき内容をお伝えしてきましたが、重要な書面になるゆえに不安に思っている方もいらっしゃるかと思います。
内容について精査したい、アドバイスが欲しいという方は、第三者へ相談することもご検討ください。
弁護士や行政書士に相談
誓約書作成代行をしている弁護士事務所、行政書士もあるため、作成に不安な方はお近くの事務所に問い合わせてみてください。
弊社でも提携の弁護士や行政書士による誓約書の作成を行っておりますので、ご希望の場合はお申し付けください。
公正証書として残す
例えば、今回の浮気で慰謝料を請求する旨を誓約書にも記載し、相手も合意したにも関わらず、振り込んでくれないというトラブルが発生する可能性もあります。
それを避けるために、公正証書として残すという方法もあります。
これは、公証人(実務経験の長い元裁判官、元検察官が法務大臣から任命されて就く職)が法律に則って作成する公文書です。
公正証書があると、契約したことを証明できるほか、財産や給与の差し押さえなどの強制執行手続きが可能となります。
強制執行されれば、文書に書かれた支払いについては強制的に行わなければならないため、慰謝料を支払ってもらえる可能性が上がります。
こちらに関しても、一度お近くの弁護士事務所に相談の問い合わせをしてみてもよいでしょう。
または、公証役場でも相談可能です。お近くの公証役場は下記URLから探すことができます。
出典:日本公証人連合会