モラハラとは?定義と他のハラスメントとの違い

モラルハラスメント(モラハラ)とは、言葉や態度によって相手の人格や尊厳を否定し、精神的に追い込む行為です。
目に見える暴力と違い、被害の発見や解決が遅れがちですが、職場や家庭など、あらゆる人間関係の中で起こる可能性があります。
モラハラの問題解決のためには、まずその特徴と、混同されやすい他のハラスメントとの違いを正しく理解することが重要です。
モラハラの基本的な特徴
モラハラは、被害者の自信を奪い、抑うつ状態や睡眠障害などの健康問題を引き起こすこともあり、早期発見と適切な対応が重要です。
モラハラには、下記の3つの大きな特徴が見られます。
- 継続的な行為
小さな嫌がらせや否定的な言動が、長期間にわたって繰り返されます。
一度きりの衝突ではなく、日常的に心理的攻撃が続くことが特徴です。
- 加害者の自己中心性
加害者は相手をコントロールしたいという欲求が強く、自分の非を認めようとしません。
常に自分を正当化し、問題の原因をすべて被害者のせいにします。
- 被害者の孤立化
加害者は巧妙に被害者の人間関係を制限し、相談相手や助けを求める機会を減らそうとします。
これにより被害者は追い詰められ、孤立していくことになります。
モラハラとパワハラ・DVとの決定的な違い
モラハラと似た概念に「パワハラ(パワーハラスメント)」や「DV(ドメスティック・バイオレンス)」がありますが、その定義や焦点には違いがあります。
特にモラハラは、法的には明確な定義があるわけではありませんが、家庭内のモラハラは「配偶者からの暴力の防止および被害者の保護に関する法律(DV防止法)」における「精神的な暴力」に含まれる可能性があります。
また、職場でのモラハラは、パワハラ防止法が定めるパワハラに該当するケースもありますが、モラハラは、精神的な攻撃行為そのものを指す際に使われます。
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【チェックシート】あなたの受けている行為はモラハラ?
ご自身や身近な人が受けている行為がモラハラに該当するのかどうかを判断するためのチェックシートを作成しました。
下記の項目に当てはまるものがないか確認してみましょう。
これらの行為が単発ではなく継続的に行われている場合、それはモラハラである可能性が非常に高いです。
一人で抱え込まず、これから解説する具体的な対処法をご検討ください。
モラハラ行為の具体的な事例

モラハラは、被害者にとって最も安心できるはずの家庭や、生活基盤である職場の両方で発生し、被害者を逃げ場のない状況に追い込みます。
ここでは、家庭内と職場での具体的なモラハラ行為の事例を見ていきましょう。
家庭内でのモラハラ
家庭内では、お互いの信頼関係を悪用した心理的な暴力が多く起こっています。
これらの行為は、逃げ場のない家庭内で行われるため、被害者を深く傷つけます。
- 人格・価値観の否定
配偶者の趣味や友人関係を否定する、「家事が下手だ」と繰り返し批判する、「稼ぎがないくせに」などと見下すような発言をする。
- 経済的支配
生活費を過度に制限する、収入源や預貯金を把握させない、自由に使えるお金を与えないといった行為(経済的DVの一種でもあります)。
- 精神的・感情的な支配
長時間無視し続ける、不機嫌な態度で威圧する、子どもの前でパートナーを責める、子どもを味方につけて孤立させるといった行為。
職場でのモラハラ
職場では、立場や権限の差を利用したモラハラが発生しやすい環境です。
被害者は仕事への意欲を失い、心身の健康を損なうことにつながります。
- 過大な要求と叱責
達成が難しい仕事を一方的に押し付けたり、必要以上に厳しく、感情的に叱責したりする行為。
- 過小な要求と無視
特定の人に能力以下の雑用や意味のない作業ばかりを命じ、正当な評価を与えない、または会議での発言を制限したり、意図的に無視したりして孤立させようとする行為。
- 精神的攻撃
他の社員がいる前で個人を侮辱する、プライベートな情報を言いふらす、特定の人を職場から孤立させるように仕向ける。
これらのモラハラは、一見すると些細な言動に見えるかもしれませんが、それが積み重なることで、やがて大きな心の傷となって現れます。
モラハラ加害者の共通する心理と巧妙な手口

モラハラ加害者の多くは、自身の行為を「しつけ」「指導」「相手のため」だと正当化し、モラハラをしているという自覚がないケースが少なくありません。
被害者が加害者の心理を理解することは、不必要な自己否定を防ぎ、冷静に対処するための第一歩となります。
モラハラ加害者の共通する心理的背景
モラハラ加害者には、下記のような心理が共通してみられる傾向があります。
- 自己愛と支配欲の強さ
自分の優位性を確認したい、相手をコントロールしたいという欲求が非常に強く、相手の意見や感情を尊重することができません。
- 劣等感の裏返し
自身の劣等感や不安を隠すために、他人を見下したり、攻撃したりすることで一時的な優越感を得ようとします。
- 責任転嫁の傾向
問題が起きると、必ず相手のせいにする傾向があります。 自分の非を認めることができず、被害者を「加害者」の立場に追い込もうとします。
モラハラ加害者の主な巧妙な手口
モラハラ加害者は、下記のような特徴的な「手口」を使い分け、被害者を精神的に追い詰め、外部から実態が見えにくい状況を作り出します。
- 二重の顔を持つことで証拠を隠蔽する
会社や社会では親切で優秀な人物を演じ、家庭や二人きりの状況になると豹変して攻撃的になります。
これにより、被害者が外部に相談しても「そんなはずはない」と信じてもらえない状況を作り出します。
- 人間関係を断ち切る誘導
被害者に対して、親しい友人や家族との連絡を絶つよう仕向けたり、それらの人間関係を貶めるような発言をしたりすることで、相談相手を物理的・精神的に減らそうとします。
- 記憶を否定し、自信を奪う手口
被害者が体験した出来事や記憶を「そんなことはなかった」「あなたの勘違いだ」と繰り返し否定し、被害者に自身の記憶や正気を疑わせることで、自己肯定感を徹底的に奪います。
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モラハラを受けている人によく見られる変化

モラハラの被害に早く気付くことで、被害を最小限に抑えられます。
自分や身近な人がモラハラを受けていないか、下記のような変化がないかチェックしてみましょう。
- 自己否定的になる
「自分が悪いのでは」と自分を責めすぎたり、過度に自己肯定感が低下したりします。
- 過度な気遣い
相手の機嫌を必要以上に気にし、常にビクビクした態度を取るようになります。
- 社会的な孤立
友達付き合いが急に減ったり、表情が暗くなったりと、以前よりも活動的でなくなります。
- 心身の不調
眠れない、頭が痛い、食欲がない、胃腸の調子が悪いといった心身の不調が続くことがあります。
【状況別】モラハラへの対処法
モラハラの被害に気付いたら、まずは冷静に状況を把握し、適切な対応をすることが重要です。
状況の深刻度に応じて、段階的な行動を計画しましょう。
【重要】モラハラを解決するためには「証拠」が不可欠
モラハラは目に見えない精神的な暴力であるため、加害者が事実を否定したり、周囲に誤解を与えたりすることが多々あります。
特に、離婚、慰謝料請求、異動要求などの法的な解決を目指す場合、客観的な証拠は不可欠です。
証拠がない場合、主張が「言った」「言わない」の水掛け論になりやすく、問題解決が長期化したり、被害者の主張が認められなかったりするリスクがあります。
解決に向けた最初の一歩として、必ず証拠の記録を開始してください。
モラハラかも……と感じた際に取るべき対処法
状況が悪化する前に、被害を最小限に抑えるための行動をとることが重要です。
- 言動を記録に残す
日時、場所、具体的な言動やそのときの状況や自分の気持ちなどを、メモやスマートフォンにできるだけ詳しく記録します。
録音や画像など、デジタルでの記録も有効です。
- 信頼できる人に相談する
家族や親しい友人など、信頼できる人に相談することで、一人で抱え込む状況を避け、気持ちの整理ができ、客観的な意見を得ることができます。
- 自分を責めすぎない
モラハラ被害者は「自分にも問題があるのでは」と自己否定的になりがちですが、加害者の言動が原因であることを理解し、不必要な自己否定をやめることが大切です。
モラハラの状況が悪化した場合の対処法
モラハラが継続し、心身の健康に影響が出始めたら、次のステップに進む必要があります。
- 必要に応じて距離を取る
状況が深刻化している場合は、一時的に距離を置くことも検討しましょう。
職場なら異動を申し出る、家庭内なら実家や友人宅に一時的に身を寄せるなど、安全な環境を確保することが最優先です。
- 法的準備を開始する
離婚や慰謝料請求など法的な対応を視野に入れる場合は、早い段階で弁護士に相談し、証拠収集や手続きについてのアドバイスを受け始めることが重要です。
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専門家によるサポートと相談窓口

モラハラ問題の解決には、一人で悩まず、専門家による適切なサポートを受けることも大切です。
下記のような専門機関を状況に応じて活用することで、解決の方向が見えてきます。
探偵事務所
モラハラは密室で行われることが多く、目に見えない精神的な暴力であるため、法的に有効な客観的証拠の収集が非常に困難です。
特に、加害者が優秀な社員である場合などは、周囲に実態を理解してもらうことが難しくなります。
このような状況で、客観的な証拠が必要な場合は、探偵事務所による調査が非常に有効です。
探偵事務所では、主に下記の具体的な調査を行い、問題を解決へ導くための決定的な根拠を提供します。
- モラハラ行為の記録収集
暴言や嫌がらせが行われている状況の音声・動画記録を、専門機器を使用した気付かれにくい方法で収集します。
これは、モラハラの継続性や悪質性を立証するために最も重要な証拠となります。
- 加害者の生活実態調査
モラハラ夫が家庭内では横暴である一方、外では模範的な人物を装っている場合など、加害者の二面性に関する客観的な情報を収集し、被害者の主張の信憑性を高めます。
- 関係者からの証言収集
状況を知る第三者から、法的な対応に向けた重要な証拠となる証言を集められます。
これらの客観的な証拠は、弁護士による法的手続きを強力に後押しし、慰謝料請求や離婚調停・裁判を有利に進めるための決定的な根拠となります。
法的支援(弁護士)
深刻な状況の場合は、弁護士への相談を検討しましょう。
モラハラは、民法上の「不法行為」に該当する可能性があり、夫婦関係においては「婚姻を継続しがたい重大な事由」として、離婚の根拠になり得ます。
また、モラハラによる精神的苦痛に対しては、慰謝料を請求できる可能性があります。
弁護士は、その慰謝料請求や離婚手続きを進めるにあたり、まず被害状況を詳細に聞き取り、法的な観点から必要な証拠を明確にしてくれます。
さらに、警告書の作成や調停、裁判など、状況に応じて最も適切かつ具体的な解決策を提示し、法的な手続きのすべてをサポートしてくれます。
カウンセラー、医療機関、公的相談窓口
心身のケアや公的な支援を受けることも、解決に向けて重要なステップです。
具体的な相談先は、下記のとおりです。
- 心理カウンセラー
モラハラの傷から回復するための心理的ケアや、具体的なコミュニケーション・対処方法についてアドバイスを提供します。
- 医療機関での診察
不眠や頭痛、食欲不振などの症状が出ている場合、専門医による適切な診断と治療を受けることで、心身の健康を取り戻せます。また、医師の診断書は証拠としても有効です。
- 公的相談窓口
配偶者暴力相談支援センターや自治体の人権相談窓口、職場の労働組合などに相談することで、公的な支援や情報提供を受けられます。
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まとめ|モラハラは早期発見が重要
モラハラは、言葉や態度による目に見えない暴力です。
家庭や職場など、身近な人間関係の中で起こるため、被害者は気付きにくく、また一人で抱え込みやすい問題です。
しかし、適切な対応をとらないまま放置すると、心身の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
モラハラは早期発見と対応が重要ですが、一人で解決しようとするのは難しいでしょう。
信頼できる人に相談したり、専門家のサポートを受けたりすることで、具体的な解決方法が見えてきます。
深刻なケースでは、カウンセリングや法的支援、そして客観的な証拠を収集する専門機関による調査など、状況に応じた適切なサポートを受けることが問題解決の近道となります。
当社「T.L探偵事務所」では、モラハラ問題の解決に向けた証拠収集の調査や、専門家との連携サポートを提供しています。
少しでも不安や疑問を感じたら、まずはご相談ください。