職場いじめの種類
直接的な暴力や暴言
いじめの内容によっては刑事罰が適用され、懲役刑や罰金刑が科される可能性もあります。
暴行罪が成立し得るケース:「上司に顔を殴られた」「先輩にお腹を蹴られた」など、直接暴力をふるわれた場合
侮辱罪が成立し得るケース:「会議中に『アホ、バカ』と言われた」「職場で『お前は本当に仕事ができねーな』と罵られた」など、暴言を浴びせられた場合
脅迫罪が成立し得るケース:「仕事でミスをした際に『給料を減らすからな』と言われた」「先輩から『ぶっ飛ばすぞ』と怒鳴られた」などの言葉で脅された場合
無視や仲間はずれ
無視や仲間はずれは、直接危害を加える行為ではないとしても、被害を受ける側からするとかなり精神的苦痛を強いられます。
周囲とのコミュニケーションが取れないとなれば、業務に支障が出ることはほぼ確実です。
ほかの社員の足も引っ張ることになり、さらに孤立が深まってしまいます。
無理難題の要求
言い返したり、要求に応えられないものなら、さらなる理不尽な仕打ちを受けるかもしれません。
とはいえいくら頑張ったところで到底実現はできず、結果として肉体的にも精神的にも追い込まれてしまうでしょう。
ミスを必要以上に問い詰める
ミスは自身だけの問題ではなく、会社やほかの社員にも影響がある以上、指導や注意がなされることは致し方ないことです。
過去には、上司の注意指導や反省書の要求等が労働者の心因反応を引き起こしたとして、慰謝料の支払いが命じられた裁判例もあります。
仮に暴力や暴言など、常識的に考えて通常の範囲を超えたやり方で注意や指導がなされた場合は、専門家に相談してみましょう。
※心因反応とは
家族や親しい人の死、失恋、失業、大きな事故・災害など、心理的に大きなダメージを受けたときに起きる一時的な心理的反応のことをいいます。
心因反応は大きく2種類にわかれ、ひとつは主に環境が原因で起こる反応と、もともとその人の性格の弱さがもとになって起こる反応があります。
責任を押し付けられる・手柄を奪われる
本来、仕事は会社・社員が一丸となり、協力しあっておこなうものです。
にもかかわらず、チームのミスやほかの人のミスを擦り付けるように個人に責任を押し付けられたり、せっかく努力して掴んだ自分の手柄を奪われたりされると、精神的な苦痛を味わうことがあるでしょう。
会社を休ませてもらえない
誰しも突然の体調不良や急用などで休まざるを得ないときはあるものです。
しかし「慶弔休暇以外休みはなし!体調不良は自分の管理不足だ!」と体調不良時に無理に出勤させる会社は存在します。
雇われている身分だと、会社の言い分に逆らいづらいですが、有給をとらせないなどの対応は違法となり得る行為です。
体調不良にもかかわらず、無理に出勤させることは、会社の安全配慮義務違反となる可能性がありますし、社員が有給休暇を取得するにあたって、会社が合理的な理由もなく拒否することはできません。
このように、職場いじめのパターンはさまざまあり、程度によっては民事責任や刑事責任を追及できる場合もあります。
絶対にNGな間違った対処法
絶対にNGな間違った対処法とは、いじめや嫌がらせを無視をすることによって起こる事態のエスカレートです。
初めは、些細なことから始まった嫌がらせも
「相手にしてはいけない」
「これに反応してはもっと加速するんではないか」
「気づいていないふりをして相手が辞めるのを待とう」
「この程度は無視していれば収まるだろう。」
などのと思い無視をしていると、これくらいの嫌がらせではダメージ(反応)がないと感じ、無視している間に相手にされない怒りを覚え、内容がより過激な行動へとエスカレートしてしまう可能性もあります。
このような些細な嫌がらせでもスピーディーで尚且つ、正しい対処が必要になります。
いじめで相手を訴える方法
いじめ問題を解決する手段として、訴訟以外に「示談(じだん)」という、裁判所外で話し合いの場を設けて和解するものがあります。
はじめに加害者と示談を行い、交渉がうまくいかなかったら訴訟に踏み切るケースが多いです。
1.証拠を集める
訴訟や示談を行うには、いじめに遭ったという証拠が必要になってきます。
裁判官は、証拠に基づき、事実を認定しますので、証拠がないと訴訟が難しいケースもあります。
お子さんの言い分や第三者の目撃証言が証拠になることもありますので、詳しくは弁護士さんにご相談してみて下さい。
SNSでいじめを受けた場合は、やり取りの記録が証拠になるので保存しておいてください。
そのほかにも、加害者に汚されたり壊されたりしたものや、けがを負わされたときの写真、診断書なども証拠品になります。
また、T.L探偵事務所では実際に調査した記録を、裁判や調停の場でも有効な「調査報告書」としてお渡ししております。
2.相手側に内容証明郵便を送る
内容証明とは、郵便物の内容、送付日や当事者などを郵便局に証明してもらえる郵便物です。
内容証明が残ることによって、消滅時効を停止することや、加害者側に、事後的に「いじめの事実が確認できなかった」という言い逃れをしにくくすることが期待できます。
内容証明郵便は、いじめの被害にあった事実や証拠などを書き、弁護士から送付してもらうことをお勧めします。
弁護士は、訴訟を見据えて文章を作成しますし、弁護士の存在をアピールすることで、相手に心理的プレッシャーを与えたり、本気度を示したりすることができるためです。
また、相手の住所を知らず、人事部や総務部に聞いても個人情報なので簡単に教えてもらえないとお困りの方もいらっしゃると思います。
T.L探偵事務所では「内容証明を送りたいが、相手の住所がわからず、送りようが無い」とお困りの際にも弊社のプロの調査員による所在調査で住所を特定することが可能です。
3.示談もしくは民事調停を行う
まずは示談を行い、加害者側に損害賠償や謝罪を求めるのが一般的です。
示談の内容は、双方の話し合いで自由に取り決めを行うことができます。
しかし、被害者・加害者側の双方が歩み寄らないと交渉が決裂してしまうので、慎重に行いましょう。
また、謝罪をしない人物に対して謝罪を強制する訴訟はありませんので、ご留意下さい。
4.示談金の相場
示談金とは、紛争の終局的解決を前提に支払ってもらう金銭のことです。
示談金の額は、いじめの内容、程度等によって事案ごとに変わってきます。
いじめによる損害が少なかった場合は、0~20万円ということもあります。
他方、重大な損害を受けた場合は、その程度に応じて、数十万円~数百万円を請求することが可能です。
いじめによる自殺等のケースでは、損害額が数千万円に及ぶこともあります。
5.裁判所に民事訴訟を提起する
「民事訴訟(みんじそしょう)」とは、一般の人が生活関係上で起きたトラブルを終局的に解決するための手続きです。
民事裁判の参加者は、加害者・被害者が原告・被告となり、それぞれの代理人である弁護士、裁判官、証人などです。
当事者が未成年者の場合、法定代理人である親が代理人弁護士に依頼して、公開の法廷で審理が行われます。
事案によっては、法廷において、いじめの当事者である子らに質問をする機会もあります。
民事訴訟では、裁判官が当事者の主張を聞き、証拠に基づいて事実を認定し、法律を適用して、判決を出したり、当事者の主張をどの程度認めるかを判断したりします。
(慰謝料については、裁判官の裁量により定められます)
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慰謝料請求が認められた判例
1.安全配慮義務違反で80万円の慰謝料
2022年3月29日千葉地方裁判所民事第3部判決の事件では、客に指を捻挫させられた従業員Aさんに対して上司がパワハラ的な対応や言動をしたことが問題となりました。
Aさんは勤務先の会社を安全配慮義務違反で訴えました。
客の暴行でケガをした従業員Aさんは上司から「それ位我慢しなくちゃ。君は心が弱いよ」と言われ体調が悪化し、ストレス性障害と診断されてしまいました。
これまでにも上司はAさんにパワハラと感じられる対応をとっていました。
勤務先の企業は職場環境を調整する義務に違反したとされ
「Aさんは著しい精神的苦痛を受けたと認める」
「苦痛に対する慰謝料は80万円」
と判決がくだされました。
2.マタニティハラスメントで100万円の慰謝料
2018年1月26日岐阜地方裁判所判決の事件は、マタニティハラスメントです。
歯科クリニックに勤める歯科技工士の女性Bさんは、産休・育休の取得により嫌がらせ行為を受け、精神疾患の診断を受けました。
病気を理由に休職したところ、休職事由が休職期間の満了日までに解消されなかったことを理由にBさんを一般退職扱いにしました。
他にも有給休暇は取得させない、有給休暇をとろうとしたBさんに暴言を吐くなどのパワハラ行為がありました。
Bさんは「有給休暇を取得すれば,自主退職の形式で退職しなければならない」という説明も受けています。
Bさんは退職し、慰謝料100万円と弁護士費用10万円の請求が認められました。
3.「精神的苦痛を慰謝するための慰謝料の金額は100万円を下らない」判決
2017年12月5日名古屋地方裁判所判決の事件では、裁判長から「原告の精神的苦痛を慰謝するための慰謝料の金額は100万円を下らない」という判決が下されました。
東証プライム企業の大手不動産会社に営業社員として勤務するCさんは達成不可能なノルマを課せられ、暴言を吐かれた結果精神疾患にかかり退職することになりました。
裁判所はパワハラを認めています。
会社に対し使用者責任又は安全配慮義務違反の債務不履行責任に基づく損害賠償として、慰謝料100万円の他に治療費や休業損害・弁護士費用を加えて計167万5273円の支払いが命じられました。
4.「歯間ブラシの掃除をさせられた」パワハラとセクハラで60万円の慰謝料
江戸川区が設置・管理する学校で起きたセクハラ・パワハラ事件です。
非常勤事務の女性職員Dさんは同僚Eから胸の大きさを話題にする、胸を触られるなどのセクシャルハラスメントを受けていました。
また、歯間ブラシを洗わされたりするなどのパワーハラスメントもあり、江戸川区に対して国家賠償法又は職場環境配慮義務の債務不履行、東京都に対しては国家賠償法に基づき連帯で損害賠償を求めました。
セクハラ・パワハラ行為を女性の同僚に相談したところ、同僚Eから「話したのか」と詰問されました。
Dさんはクリニックで適応障害の診断を受け、校長には口外しないよう求められました。
その後も同僚Eと2人で同じ教室で働く環境が続き、適正な措置は取られませんでした。
Dさんには慰謝料60万円と通院費用・弁護士費用が認められました。
セクハラだけではなく、歯間ブラシの掃除に関しても
「通常人が嫌悪感を催すと思われる行為を意図せずとはいえさせられた」
「社会通念上許容できる限度を超える被害を受けている」
と述べられました。
上記4つの事件で共通しているものとして、被害者が精神疾患にかかるという被害の大きさ、医師の診断書など証拠があるという点です。
また、訴えた相手が加害者ではなく職場である点も重要なポイントです。
正規・非正規といった雇用形態は問わず、被害の度合いや損害の大きさが慰謝料の額を左右することが推定できます。
職場でいじめ・嫌がらせ被害は被害の程度や証拠の有無、「民法709条の不法行為に該当するか」が問題となります。
まずは法律の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
T.L探偵事務所では提携している弁護士事務所がありますのでご紹介させていただくことも可能です。
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慰謝料の相場はいくら?
職場でのいじめ・パワハラ、慰謝料の相場は50~300万円程度
職場でのいじめやパワハラの慰謝料の相場は50~300万円程度となっています。
慰謝料はいじめやパワハラの内容・証拠の有無・いじめによる損害などによって金額が異なります。
また、被害者が自殺に追い込まれてしまった場合の慰謝料は他のケースと異なり、高額になることがほとんどです。
その場合、慰謝料額は2000万円~2800万円ほどになります。
また、慰謝料のほかに逸失利益も損害賠償の対象に含まれます。
逸失利益とは、パワハラ等の不法行為による自殺が無ければ、被害者が得られたであろう将来の利益(収入など)を言います。
この逸失利益は、被害者の収入によりますが、おおよそ4000万円~5000万円程度という金額になることが多く、慰謝料と合わせた合計の賠償額は高額なものになります。
まとめ
今回は、いじめで相手を訴える方法や慰謝料請求が認められた判例と慰謝料の相場を解説しました。
職場でのいじめのご相談は多く寄せられており、職場は日常生活の大半を過ごす場所であるため、その環境が悪いと私生活においての幸福度に大きく関わります。
少しでも嫌がらせを感じたら被害が大きくなる前に、頼れる上司や相談役、コンプライアンス部署などへ相談することをお勧めします。
会社内で解決できない場合は、労働基準監督署やその他専門家へ相談することで解決できる場合もありますので、一人で悩まず先ずは相談しましょう。
いじめの訴訟するにあたって、損害賠償請求の成功のカギを握るのは、嫌がらせ行為の日時の記録などの確かな証拠である為、専門知識を持った第三者に調査を依頼し、証拠を集めることがとても重要です。
嫌がらせ(いじめ)調査から訴訟に至るまで、すべてお任せください。
まずは全国無料相談窓口にてお気軽に、ご相談下さい。きっとお力になれるはずです。
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