内部告発で起こり得るリスク
内部告発は
「社内の不正行為を正して職場環境を良くする」
「自社のダメージを最小限に抑える」
といったことが目的の正しい行為です。
にもかかわらず、内部告発後に不遇な扱いを受けるケースは決して少なくありません。
- 担当していた業務・企画から外された
- 転勤・出向を命じられた
- 賃金が安い部署へ異動させられた
- 降格処分を受けた
- 退職を強要された
- 配置転換先が決定するまで自宅待機になった
- 情報漏洩・守秘義務違反として解雇された
- 同僚やチームメンバーとの人間関係が悪化した
内部告発は正しい行いであることは間違いありませんが、バレたときにリスクが発生する恐れがあることは認識しておく必要があります。
【リスクヘッジ】匿名で内部告発をする手順と注意点
内部告発は匿名でもできる
内部告発は告発者の名前が必要だと思われがちですが、消費者庁では「一定の条件をクリアすることで匿名での通報も認める」よう企業側に求めています。
本法は対象となる通報を顕名(実名)の通報に限定しておらず、匿名であっても、本法に定める要件を満たせば公益通報に該当することから、内部公益通報受付窓口では、匿名の公益通報を受け付ける必要があります。
引用元:消費者庁「事業者における通報対応に関するQ&A「内部公益通報受付窓口では、匿名の公益通報を受け付ける必要がありますか。」
では「匿名で内部告発をおこなう条件」とはどのようなものか見ていきましょう。
- 通報者が通報の対象となる事業者へ労務提供している労働者であることのほか、必要と認められるその他の者
- 通報に不正の目的がないこと
- 法令違反行為が生じ、又はまさに生じようとしていること
- 通報内容が真実であると証明できること
- 厚生労働省が法令違反事実について処分又は勧告等の権限を有していること
引用元:厚生労働省「公益通報者の保護」
リスクヘッジのためにも内部告発は匿名でおこない、さらに告発者が自分であることを誰にも言わないよう、誰からも悟られないよう注意しましょう。
【要確認】自社企業に「内部通報制度」は導入されているか
内部告発をした人が嫌がらせや報復人事を受けないよう、国では「内部通報制度」という法律を設けています。
内部通報制度とは、企業が企業内の不正を早期に発見して企業と従業員を守るため、組織内の不正行為に関する通報・相談を受け付け、調査・是正する制度です。
公益通報者保護法により、従業員数(アルバイトや契約社員、派遣労働者等も含む。)が300人を超える企業には、内部通報制度の導入が義務付けられています。
また、従業員数が300人以下の企業にも、内部通報制度の整備に努めることが求められています。
企業は通報者や相談者に不利益な取扱いをすることが禁じられており、通報窓口などの担当者には通報者を特定させる情報の守秘義務が課せられています。
引用元:政府広報オンライン「組織の不正をストップ!従業員と企業を守る「内部通報制度」を活用しよう」
不正に気付いた人が安心・安全に通報できる環境を整える制度でありながらも、義務付けられているのは300人超えの企業だけであり、300人以下の企業においては努力義務にとどまっているのが現状です。
自社の企業が内部通報制度を導入しているか否か、導入している場合の通報先はどこなのか、内部告発をする前に必ず確認しておきましょう。
企業によっては社外に通報窓口を設ける「外部通報制度」を導入しているところもあります。
通報窓口は弁護士事務所に設定している企業が多いようです。
不正を証明する証拠を準備
内部告発をする前には、不正がおこなわれていることを証明する証拠を準備しましょう。
- 改ざんされているデータ
- 不正行為が確認できる写真・動画・録音データ
- 不正行為をおこなうよう指示されたメール など
証拠は複数あるほうが有利ですが、リスクを避けるためにも「告発者が特定できないような証拠」を集めるのがベストです。
限られた人しか知らない情報の場合、特定される恐れがあるので注意しましょう。
証拠がないときや、通報者が特定されにくい証拠をつかみたいときは、調査のプロ・探偵事務所に相談するのがおすすめです。
通報先を決める
証拠が揃ったら通報先を決定しましょう。
おもな通報先には次のようなところがあります。
- 社内の相談窓口(コンプライアンス部、社長 など)
- 社外の相談窓口(弁護士事務所、労働基準監督署、新聞社、テレビ局、探偵事務所の電話代行サービス など)
- 厚生労働省(公益通報受付)
社内の相談窓口は告発者探しをおこなう恐れがあり、同時に不正行為がもみ消される恐れもあるため避けたほうが無難です。
できれば社外の相談窓口か厚生労働省の公益通報受付サイトからの通報をおすすめします。
どこに相談したらいいか分からないときは、消費者庁「公益通報の通報先・相談先 行政機関検索」で検索してみましょう。
内部告発ができる人は、公務員含む正社員、アルバイトやパートタイマー、契約社員や派遣社員、役員や1年以内の退職者のみになります。
家族・知人・友達が代理でおこなうことはできないためご注意ください。
内部告発のあとに嫌がらせ・報復人事を受けたら?相談窓口を紹介
「企業内の相談窓口に内部告発をしたら、数カ月後に異動を命じられた」
「職場で無視されるようになった…内部告発をしたのがバレた?」
「守秘義務違反として解雇された」
本来であれば、内部告発者は保護される立場であるべきです。
しかしながら、企業によっては告発者を見つけ出して不当な扱いをしたり、報復をチラつかせて自主退職を促したりなど、精神的ダメージを与えるような行為をおこなうところもあります。
もしも内部告発が原因と思われる嫌がらせ・報復人事が生じたら、できるだけ早急に然るべき対処をおこないましょう。
本章では嫌がらせ、報復人事を受けたときの相談窓口について紹介していきます。
弁護士事務所に相談する
- 内部告発後に解雇された
- 降格・異動・出向・自宅待機になったせいで賃金が下がった
- 無視されたり、私物がなくなったり、仕事を取り上げられたりなどの嫌がらせ被害にあい、嫌がらせの証拠も確保できている
上記のようなときは、証拠を準備したうえで弁護士事務所に相談しましょう。
内部告発が原因であることを証明できれば、企業を相手取り賠償請求をおこなうことが可能です。
弁護士費用は依頼内容によって異なりますが、おおよそ30~100万円程度になります。
探偵事務所に相談する
- 嫌がらせされているが証拠がつかめない
- 嫌がらせをしてくる犯人が分からない
- 組織的なイジメやガスライティングに悩んでいる
上記のように嫌がらせの証拠がない、嫌がらせがあっていることを証言してくれるような味方もいないといったときは、探偵事務所に嫌がらせ調査の相談・依頼をおこなうことをおすすめします。
証拠がない状態で訴えると、企業や従業員が嫌がらせの事実を認めなかったり、被害妄想や虚偽報告を疑われたりなど、自身が不利な状況に陥る恐れがあり危険です。
ICレコーダーや小型カメラがあれば自分で証拠をつかむことも可能ですが、相手側にバレると証拠が取り上げられたり、二度と証拠がつかめない状況になるリスクも発生するでしょう。
その点、調査のプロ・探偵事務所であれば、尾行・張り込み・聞き込み・潜入調査など、状況に応じた調査で嫌がらせの証拠を確保することが可能です。
証拠と調査報告書があればこちら側が有利になり、慰謝料や損害賠償請求をおこなうこともできます。
嫌がらせ調査の費用は調査内容等によって異なりますが、1件10万円~程度が目安です。
詳しい費用を聞きたいときは、各探偵事務所の無料見積り相談でお尋ねしてみましょう。
病院を受診して診断書をもらう
嫌がらせや報復人事などで精神的なダメージを感じたときは、病院を受診して診断書を出してもらいましょう。
精神科や心療内科が発行する診断書は法的措置を取る際の証拠として使うことができ、4日以上出勤できない日が続くと傷病手当金の対象にもなります。
決して無理をせず、早めの受診を心がけてください。
まとめ
内部告発後の嫌がらせや報復人事などのリスクを避けるには、念入りな下準備をしたうえで匿名で通報することがおすすめです。
もしも「内部告発したいが確証的な証拠が揃わない」「通報者が特定できないような証拠を準備したい」といったときは、調査のプロ・探偵事務所に相談してみましょう。
探偵事務所では電話代行をはじめとする各種サービスや、不正行為の証拠をつかむ調査、さらには通報後に発生した嫌がらせの証拠の確保など、内部告発をサポートするサービスをおこなっています。
多くの探偵事務所で無料相談・無料見積もりをおこなっていますので、依頼する・しないに限らず、悩んだときや困ったときの相談先としてご活用ください。