被害届が受理されないことはあるのか?
通常、警察に被害届を提出し、受理されたら、警察が加害者に警告をしたり、逮捕するなど何らかの対処をしてくれます。
事件や事故に巻き込まれて、被害届を提出すれば、必ず受理してくれるイメージが強いかもしれませんが、提出をしても受理されないということが本当にあるのでしょうか?
結論から申し上げますと、被害届を提出しても受理されないということは、残念ながら意外とよくある話なのです。
しかし、警察の内部規定には、『被害の届出があった際は、受理しなくてはならない。』という規定が決められています。(以下参照)
『(被害届の受理)第61条 警察官は、犯罪による被害の届出をする者があつたときは、その届出に係る事件が管轄区域の事件であるかどうかを問わず、これを受理しなければならない。』
出典:犯罪捜査規範(昭和三十二年国家公安委員会規則第二号)
つまり、本来であれば、被害届が提出されたら、警察はどんな理由であっても受理して、対処をしなくてはなりません。
では、どうして受理されないという事態が起きているのでしょうか?
実は、警察には毎日膨大の量の被害届が提出されています。
その中には、いたずら目的で提出されたものや被害が軽微でかつ時間が経ってしまっているものあり、全て刑事事件で処理できるものか判断をしたうえで受理をしていきます。
こういった判断により、警察ではできないとみなされた被害届に関しては、受理されないことになってしまうのです。
被害届が提出されない詳しい理由については、次の項目にて説明をしていきますので、こちらも確認をしていきましょう。
被害届が受理されない理由
被害届は本来受理されるものではありますが、一部の理由により受理されないと判断されることがあります。
では、一体どのような理由の時に被害届が受理されないのでしょうか?
具体的には、以下の5つの理由が挙げられます。
- いたずら目的と判断されたから
- 証拠が少ないから
- 被害が軽微であるから
- 被害が発生してから時間が経ってしまっているから
- 民事事件に該当されるから
これらの理由に該当された場合、どうして被害届が受理されないのか、説明をしていきます。
いたずら目的と判断されたから
被害届を提出する人の中には、特に被害に遭っていないのにも関わらず、いたずら目的をとして軽い気持ちで提出する人も存在します。
当然ながらこのように判断された場合は、受理されることはありません。
実際に被害に遭って悩んで、被害届を提出する人が多いことではありますが、いたずら目的の被害届は、警察の業務の手間になってしまうことがあるので、遊び半分で被害届を提出することは絶対にやめましょう。
証拠が少ないから
被害に遭ったという証拠があまりにも少なすぎると、警察に被害届を提出しても受理されず、動いてもらえないことが多いです。
もちろん、たくさんの証拠を集める必要はないのですが、被害に遭ったという状況を警察が把握できないと、捜査に進むことは難しいでしょう。
特に、刑事事件に関わるものであっても犯人の特定が難しい事件の場合は、どんな人が犯人か詳しい証拠がないと、被害届を提出しても受理されないことがあります。
被害が軽微であるから
『100円を盗まれた。』などと、あまりにも被害が軽すぎる場合も、被害届を受理されることはありません。
たとえば、多額の金銭を騙し取られた場合は、被害届が受理され、捜査されることが多いですが、被害が軽微である場合は、警察でも『個人間のトラブル』と判断され、被害届が受理されないケースが多いです。
ただし、同様の被害に遭った人が複数人もいる場合や、被害の回数が多い場合は、軽微であっても被害届を受理し、捜査をすることもあります。
被害が発生してから時間が経ってしまっているから
被害に遭ってから時間が経ってしまっている場合も、被害届を提出しても受理されないことが多いです。
その理由として、『公訴時効』が過ぎていることが考えられるからです。
公訴時効が過ぎていると、被害に遭っていたとしても、裁判を起こすことができず、検察が起訴することができません。
そのため、被害に遭ってからあまりにも時間が経ってしまっている場合は、警察が動いてくれることはないのです。
被害に遭ってしまった際は、『公訴時効』という制度があることを必ず忘れないで、できるだけ早めに被害届を提出するようにしてくださいね。
民事事件に該当されるから
警察は、刑事事件に介入することはできますが、民事事件に介入することはできません。
理由としては、警察には、『民事不介入の原則』というルールがあるため、民事事件と判断された被害に関しては、被害届を受理することができないのです。
そもそも民事事件というのは、簡単にいうと私人間のトラブルのことであり、具体的には以下のようなものが該当されます。
- 近隣の人とのトラブル
- 不倫や浮気のトラブル
- 給料にまつわるトラブル
- 相続にまつわるトラブル
- 損賠賠償などのトラブル
このようなトラブルは、基本的には自分たちで解決をしなくはなりません。
自分たちで解決することが難しい場合は、弁護士や専門機関に相談をするようにしましょう。
被害届を受理させるための対処法
被害の証拠が少なかったり、軽微である場合は、被害届を提出しても受理させることが難しいです。
しかし、それでも被害届を受理させて、警察に捜査をしてもらいたいと考えている方もいらっしゃるでしょう。
そのような場合や、なぜかなかなか被害届が受理されないとお悩みの方に、被害届を受理させるための対処法について紹介をしていきます。
被害届を受理させるには、具体的に以下のようなことを実践すると良いでしょう。
- 証拠をできるだけ集める
- 被害に遭った経緯をできるだけ細かく説明する
- 被害届を提出してどうしてほしいのか説明をする
これらのことを実践するには、どうすればいいか詳しく説明をしていきます。
証拠をできるだけ集める
被害の証拠が少なさすぎると、被害届を提出しても受理されにくいです。
そのためには、まず被害に遭ったという証拠を可能な限り集めるようにしましょう。
たとえば、被害に遭ったとわかるものを用意したり、被害にあった際の加害者とのやりとりを用意するなど、意外と証拠になるようなものが出てくるはずです。
こうした証拠を集めたうえで、被害届を提出することにより、警察も状況を把握しやすくなり、受理される可能性が高くなります。
被害に遭った経緯をできるだけ細かく説明する
証拠だけではなく、被害に遭ったという経緯も説明するようにすることにより、被害届が受理されやすくなります。
どんな被害にあったかということを伝えるのはもちろんですが、『いつ・どこで・誰に・どのようにして被害が遭ったのか』を意識して状況を細かく説明していきましょう。
この時、被害に遭うまでに加害者とどこで知り合い、どんな風に加害者とやりとりをしていたかわかるのであれば、時系列に説明をするとさらに良いです。
『お金を騙されてしまった。』
『この間事故に遭ってしまった。』
などとざっくりとした説明だと、警察にも状況が理解されにくいので、事前に被害にあった際の経緯をより詳しく整理してみてくださいね。
被害届を提出してどうしてほしいのか説明をする
ただ被害届を提出しただけでは、警察も被害者であるあなたや加害者に今後どう対応していけばいいかわかりません。
被害届を提出する際は、必ず今後どう動いてほしいか目的を説明するようにしましょう。
たとえば、『当て逃げをされたので、犯人を逮捕してほしい。』とか『ストーカーに遭っているので、犯人に警告してほしい。』などと、被害届が受理された後、警察に行ってほしいことを伝えましょう。
そうすることにより、警察も今後どう動けばいいか理解をしてくれるので、被害届も受理されやすくなります。
どうしても被害届が受理されない時は何をすべきか?
証拠を集め、経緯や目的を詳しく説明することにより、被害届が受理されやすくなり、警察も動いてくれるようになります。
しかし、それでも被害届が受理されないというケースも残念ながらよくある話です。
そのようなケースの時、以下のような原因があると考えられます。
- 証拠が足りない
- 被害に遭った際の状況や目的が整理できていない
自分で時間をかけて、証拠を集めたり、状況や目的を整理しても、警察側からすると証拠が不十分であると捉えられたり、状況や目的が理解できないということもあり得ます。
そのような時は、探偵などのプロに証拠集めを依頼したり、状況や目的の整理をしてもらうようにしましょう。
探偵であれば、聞き込み調査や尾行調査、データ調査などを用いて、より詳細な証拠を入手することができます。
犯人像や被害の詳細などが明確にわかる証拠を手に入れることができれば、被害届も受理しやすくなり、警察もすぐ動いてくれます。
もし、自分で証拠を集めたり状況や目的を説明したけど、被害届が受理されなかったとお悩みの方は、探偵に依頼することも検討しましょう。
被害届でのお悩みは探偵に相談しよう
証拠が少なかったり、被害が軽微であったり、被害に遭ってから時間が経ってしまっている場合は、被害届を提出しても、受理されないこともあります。
そのような時は、ご自身で証拠を集めたり、被害に遭った際の状況や目的を明確にし、警察に説明をすることにより、被害届が受理されやすくなります。
しかし、中にはそれでも被害届が受理されないということもあります。
『どうしても被害届が受理されない…。』
とお悩みの方は、探偵に相談をするのもおすすめです。
探偵では、より詳細な証拠を入手することができるのはもちろん、あなたが被害に遭った際の状況整理のサポートもします。
被害届を提出する際に困ったことがあれば、アドバイスをすることが可能なので、ぜひ探偵を頼ることも検討してみてくださいね。