そもそも不法侵入とは?罰則・時効を解説
不法侵入(住居侵入等)の罰則
前提として、不法侵入には次の2つの種類があります。
- 住居侵入罪…家や庭など家屋や敷地内に侵入する行為
- 建造物侵入罪…立ち入りが制限されている公共施設や閉店後の店舗などに侵入する行為
刑法ではどちらも「住居を侵す罪」とされ、どちらも罰則の対象です。
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
参照:e-Gov「刑法130条 第十二章 住居を侵す罪(住居侵入等)」
現行犯逮捕はもちろんのこと、証拠があれば通常逮捕(後日逮捕)も可能です。犯人には3年以下の懲役、もしくは10万円以下の罰金が課せられます。
悪意なしの不法侵入も罪になる
「酔っ払って誰かの家の庭で寝てしまった」
「子どもが隣の家の庭にボールを飛ばし、不在だったため勝手に入ってボールを取った」
「興味本位で心霊スポットに侵入した」 例え悪意がなかったとしても、刑法に記されているように「正当な理由がない」と認められた場合は不法侵入に該当します。
もちろん「間違えて入ってしまった」など、故意ではない場合はその限りではありません。
しかし「本当に故意では無いのか」「間違えたふりをしている可能性はないか」などの話し合いに発展することもあります。
不法侵入の時効
不法侵入の時効は3年です。
もしも不法侵入と同時に別の犯罪(窃盗・わいせつ・盗撮など)をおこなった場合、罪が重いほうの時効が基準となります。
- 窃盗罪…7年
- 不同意わいせつ罪…12年
- 不同意性交等罪…15年
- 撮影罪(盗撮)…3年
- 傷害…10年
- 殺人…時効無し
時効のケースから考えると「不法侵入した犯人には別の目的がある」ということが推測されます。
「不法侵入されたが犯人が分からない」という場合は、再度の不法侵入を防ぐ対策が必要です。
証拠の有無にかかわらず、警察に相談することをおすすめします。
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不法侵入で後日逮捕されるケースとは?逮捕から逮捕後の流れも解説
不法侵入は現行犯だけでなく、後日逮捕(通常逮捕)の対象にもなる犯罪です。
証拠が無い場合でも、何らかの理由により逮捕に至るケースも決して少なくありません。
ではどんなときに逮捕されるのか、ここでは不法侵入で後日逮捕されるまでの流れについて解説していきます。
1. 被害者による被害届の提出
被害者が不法侵入被害にあったことを警察に相談し、警察側から「事件性がある」と判断された場合には被害届を提出します。
2. 警察による捜査がはじまる
警察側は被害者の話をもとに捜査をはじめます。
- 現場検証
- 犯人特定につながる遺留品や目撃者探し
- 目撃者や関係者からの聞き取り調査
- 防犯カメラの精査
- 窃盗品の行方(質屋・リサイクルショップ・オークションサイト)
3. 警察から犯人と思われる人物への出頭要請
捜査により犯人と思われる人物が浮上したとき、その人物には警察から出頭要請がかかります。
出頭要請とは「話を聞かせて欲しい」という任意の事情聴取であり、ほどんどが電話、もしくはハガキでおこなわれます。
この時点では任意であるため、出頭する・しないは自由です。
※事件によっては出頭要請がかからないこともあります。
4. 逮捕状の発布・逮捕
不法侵入の犯人がほぼ確定した時点で、警察から裁判官に逮捕状の発布を請求します。
請求後は当日、遅くとも翌日には逮捕状が発布され、発布後は警察が犯人の確保=逮捕に向けて着手します。
なお、逮捕状の有効期限は通常7日間です。
逮捕されたあとの流れ
不法侵入した罪で逮捕されたあとは、次のような流れで進んでいきます。
- 警察官による弁解録取(逮捕の理由・弁護士の選任の説明)
- 警察官から検察官に身柄や捜査資料などを送検・送付(逮捕から48時間以内)
- 検察官による弁解録取
- 必要に応じて検察官が裁判官に対し勾留請求(身柄を送検されてから24時間以内)
- 裁判官から勾留質問を受ける
- 裁判官が勾留請求を許可すれば10日間の身柄拘束が決定、却下されたら釈放(勾留は最長10日間。ただし、やむを得ない場合は10日間延長することも可能(最大20日間)
- 原則、勾留期間内に起訴・不起訴が決定
- 起訴されたら2カ月間勾留(この期間中に刑事裁判を受ける)
- 理由がある場合は勾留が1カ月ごとに更新される
- 保釈が許可されれば釈放される
不法侵入をしてしまったら弁護士に相談を
「不法侵入してしまったが決して悪意はない」
「心霊スポットに不法侵入してしまったが反省している」
「浮気調査のための不法侵入でも罪になるのか」
不法侵入された側の相談先が警察だとしたら、不法侵入してしまった側の相談先は弁護士です。
ここでは不法侵入をしてしまった人に対し、弁護士ができることについて解説していきます。
被害者との示談交渉
被害者に示談を交渉し、成立すれば逮捕される可能性は少なくなります。
多くの場合は示談金が発生し、金額についてはケースバイケースです(10〜300万円程度) 不法侵入した人が被害者と示談交渉することもできますが、例えば言葉遣いや態度で相手を怒らせてしまい示談が不成立に終わったり、警察に通報される恐れも考えられます。
また「加害者に会いたくない」「顔も見たくない」「会うのが怖い」と示談交渉を拒まれる可能性もあるでしょう。
一方で弁護士であれば、法律の知識と交渉術により、比較的スムーズに示談を成功へと導くことが可能です。
不法侵入の示談をおこないたい場合は、自分で交渉をする前に弁護士に一度相談してみましょう。
逮捕を回避できる可能性も
悪意のない不法侵入である場合、または窃盗のほかに罪を犯していない場合であれば、弁護士に相談・依頼することで逮捕を回避できる可能性もあります。
弁護士に自分がおこなった行為や不法侵入した理由・目的などを正直に話すことで、警察に自白する際のアドバイスを受けることができます。
もちろん、警察への出頭に同行したり、取調べされている間も取調室の外で待機してもらうことも可能です。
重大事件においては、自首後に逮捕される可能性もありますが、事前に弁護士に相談・依頼しておけば、不起訴や執行猶予付き判決に動いてもらうこともできるでしょう。
「逮捕されたらどうしよう」とビクビクして暮らすのではなく、逮捕回避、または不起訴や執行猶予付き判決で済むよう弁護士に相談してみることをおすすめします。
不法侵入されたら探偵に相談を
「自宅に入られた形跡がある」
「外出中に家に入られ何かを盗まれた」
「鍵を変えたのに家に侵入された」
上記のように不法侵入されて証拠がなくてお困りの場合は探偵への相談・依頼をおすすめします。
探偵調査であれば、証拠が取れないなどの問題を解消し、より確実な調査を行うことが可能です。
探偵に調査依頼する場合は、調査費用が10~80万円ほどかかると思いますが、依頼者の予算に応じたプランを組み立てることもできます。
ほとんどの探偵事務所では無料相談・無料見積もりをおこなっていますので、まずは気軽な相談からはじめてみましょう。
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まとめ
不法侵入は逮捕の対象になる立派な犯罪です。
例え「証拠がない」「証拠を残していない」などの場合でも、遺留品や目撃談、防犯カメラの映像などさまざまな証拠から後日逮捕に至る可能性も十分考えられます。
不法侵入された側は、証拠の有無にかかわらず警察に相談してみましょう。
重大事件であれば警察の速やかな捜査が期待できますし、重大事件でない場合でも再度の不法侵入を防ぐアドバイスをもらえたり、パトロールを強化してもらうことは可能です。
逆に不法侵入をしてしまった場合は、弁護士に相談することで逮捕を回避できる可能性があります。
もちろん重大事件の場合は逮捕は免れませんが、不起訴や執行猶予付きの判決へと動いてもらうことはできるでしょう。
もしも「何者かに自宅に入られた」「不法侵入の証拠を得たい」という理由でご相談を考えているのであれば、ぜひ探偵までご相談ください。
問題を放置していると、深刻な状況に発展してしまうケースも存在します。
手遅れにならないよう、まずは探偵の無料相談からはじめてみることをお勧めします。