ストーカー行為とは
ストーカー行為とは「好意、あるいは怨恨を寄せている人物に対し、相手が嫌がっているにも関わらず関心をひこうとしたり、嫌がらせをおこなったりする迷惑行為」のことを指します。
日本では2000年に「ストーカー行為等の規制等に関する法律(通称:ストーカー規制法)」が施行され、被害者がストーカー行為をおこなう人物の処罰を望む場合、警察が警告・禁止条例・逮捕などの措置をくだすことが可能になりました。
たとえストーカー行為に該当するか微妙な「ストーカーまがいの行動」だったとしても、内容によっては処罰してもらうことが可能。特定人物のストーカーまがいの行動に悩んでいる人は警察に相談してみることをおすすめします。
どこからがストーカー行為?具体例を一覧で紹介
前述したように、日本には「ストーカー規制法」という法律があり、9種類の行動を「ストーカー行為」と定めています。
- つきまとい・待ち伏せ・押しかけ・うろつき等
- 監視していると告げる行為
- 面会・交際などの要求
- 乱暴な言動
- 無言電話・連続した電話・文書・ファクシミリ・メール・SNSのメッセージ等
- 汚物などの送付
- 名誉を傷つける
- 性的羞恥心の侵害
- GPS機器等を用いた位置情報の無承諾取得等
上記9種類の行動について、詳しく見ていきましょう。
1. つきまとい・待ち伏せ・押しかけ・うろつき等
「つきまとい・待ち伏せ・押しかけ・うろつき等」とは、ターゲットに接近しておこなう迷惑行為のこと。ときにはターゲットの家族・恋人・友人に対し同様の行為をおこなうことがあります。
- つきまとう
- 尾行する
- 自宅・職場・外出先に待ち伏せる・押しかける
- 自宅・職場の周囲を徘徊する
- 前に立ちふさがって進路の邪魔をする
上記のような被害にあったときは、日時・場所・状況を記録しておきましょう。
可能であれば相手に気付かれないよう写真・動画で撮影しておくと、より強い証拠になります。ただし気付かれると逆上される恐れがあるため、無理のない範囲でおこなってください。
2. 監視していると告げる行為
「監視していると告げる行為」とは、ターゲットの行動を監視し、電話・メール・SNSのDMなどで監視内容を伝えてくる行為になります。
- 自宅を出たタイミングで「いってらっしゃい」「(具体的なファッションを指しながら)似合ってるよ」
- 職場・学校を出たタイミングで「お疲れ様」「気を付けて帰ってね」
- 自宅に着いたタイミングで「おかえり」「今日は〇〇さんと会っていたね」など
電話の内容や送られてきたメッセージは、録音やスクリーンショットなどで保存しておきましょう。
警察に相談する際の証拠になります。
3. 面会・交際などの要求
「面会・交際などの要求」は、断りを入れたにも関わらず、複数回にわたって面会・交際を要求してくる行為です。
- しつこく交際(復縁)を要求する
- 「会って話がしたい」「まずは友達になりたい」など面会を要求する
このケースは、ときに手を握ってきたり、肩を組んできたり、密着されることがあります。
ターゲットが思い通りにならないと機嫌を損ね、次に紹介する「乱暴な言動」を起こすことがあるため警戒が必要です。
4. 乱暴な言動
「乱暴な言動」とは、暴力をふるったり、暴言を浴びせてきたりする行為。ターゲットの言動が気に入らず、逆上して乱暴な言動をするケースが多く見られます。
- 無理やり腕を掴んで引っ張る
- 車に押し込もうとする
- 「殺すぞ」などという暴言
- 周辺から怒鳴る
- 壁側に追い込み、ターゲットの顔の真横の壁を殴る
- 大きな音をたてる
このとき、怪我を負わせられた場合は傷害罪や暴行罪に該当します。
あわせて暴言の内容によっては脅迫罪にもなるため、即座に警察に相談しましょう。
5. 無言電話・連続した電話・文書・ファクシミリ・メール・SNSのメッセージ等
「無言電話・連続した電話・文書・ファクシミリ・メール・SNSのメッセージ等」は、電話や手紙などを使用した嫌がらせ行為のことです。
- 自宅・職場にしつこく電話(無言電話含む)をかけてくる
- 拒否しているにも関わらず、文書や手紙を送りつけてくる
- ブログやSNSに事実無根、あるいは誹謗中傷のコメントを入れてくる
自宅への嫌がらせは家族に、職場への嫌がらせは上司や同僚に迷惑がかかってしまいます。
ブログやSNSへの嫌がらせも、全世界に偽の情報や個人情報が広められてしまう卑劣な行為。被害が大きくならないためにも早めの対処が必要です。
6. 汚物などの送付
「汚物などの送付」とは、汚物をはじめ「相手が不快に思うもの」を送り付ける行為のことを指します。
- 髪の毛
- 動物の死体
- 使用済みの服
- 使用済みの下着
- 汚れた、または傷つけられた人形
開封直後に電話やメール、メッセージを送ってくるなど「監視していると告げる行為」がプラスされることもあります。
不快ですが、処分せずに「証拠品」として保存、または警察に持参しましょう。送られてきた日時が分かるよう、写真を撮っておくのも有効です。
7. 名誉を傷つける
「名誉を傷つける」とは、相手の名誉や精神を直接的、または間接的に傷つける行為のこと。近年はインターネットを使用する傾向が強いようです。
- 名誉を傷つけるような内容、または誹謗中傷を綴った文書を送り付ける
- 自宅・職場などの周辺、もしくは車などに名誉を傷つける張り紙をする
- 根拠が無い悪い噂を流す
- チラシを撒いたり、インターネット上に掲載・拡散する
文書や張り紙、チラシは立派な証拠になります。また、インターネット上に名誉を傷つけるような書き込みも、証拠としてスクリーンショットなどで保存しておきましょう。
保存したうえで「報告」や「ヘルプ」の項目から、運営元やサイト管理者に削除依頼するのがおすすめです。 総務省のホームページでは、「インターネット上の誹謗中傷に関する相談窓口のご案内」を設けています。
Yes/Noフローチャートから適切な相談窓口が分かりますので、ぜひ参考にしてください。
8. 性的羞恥心の侵害
「性的羞恥心の侵害」とは、性的なことに関する嫌がらせ行為のことです。元・恋人や離婚した配偶者による「リベンジポルノ」も「性的羞恥心の侵害」に該当します。
- 付き合っていたときに撮影した裸の写真を送り付ける
- 同様にインターネットにアップする
- 「よりを戻さなければ性行為の動画を拡散する」などと脅す
- わいせつな写真・画像を自宅・職場に封書で送り付ける
- 同様にメール・SNSで送信する
被害にあった場合は、すぐに運営元やサイトの管理者に削除依頼しましょう。もちろん、警察への相談も忘れないようにしてください。
9. GPS機器等を用いた位置情報の無承諾取得等
「GPS機器等を用いた位置情報の無承諾取得等」は、2021年にストーカー規制法に追加された新しいストーカー行為です。
おもに車・自転車・私物などに勝手にGPS機器やアップル社の「AirTag(エアタグ)」を取り付け、行動を把握する行為を指します。 行動が監視されているように感じたら、車・自転車・私物に怪しいものが取り付けられていないか確認してみましょう。
ストーカーの心理や効く言葉とは?
ストーカーの心理
ストーカーの心理は、5つの種類に分けることができます。
1.親密追求型…自分と相手は愛し合っている・恋愛関係にあるなど妄想しているタイプ。相手の家族や友達、恋人を「邪魔者」とし危険な犯行に及ぶことがあります。
2.無資格型…一方的に好意を押し付けるタイプ。相手に拒絶されると好意が憎悪へ、そして暴力・暴言・性暴力へと変化する恐れがあります。
3.拒絶型…恋愛の終わりや離婚を拒絶するタイプ。元恋人や元配偶者が拒絶型のストーカーになりやすく、よりが戻せないと分かると攻撃してくる恐れがあります。
4.憎悪型…相手が嫌がると喜びを感じるタイプ。嫌がれば嫌がるほど満足し、さらに嫌がらせを重ねてきます。
5.略奪型…「自分のものにしたい」という束縛が強いタイプ。監禁・性暴力を起こすことがあります。
ストーカー行為をおこなう人物に心当たりが無かったり、面識がなかったりするケースも珍しくありません。
犯人が分からないストーカー行為、または嫌がらせについては、警察に相談するとともに探偵事務所への調査依頼がおすすめです。次章で詳しく解説します。
ストーカーに効く言葉
ストーカーに悪質な行為をやめて欲しいとき、優しい言葉でお願いしてもあまり効果はありません。
かといって「あなたに好意はない」「もう近寄らないで」などと強く拒否したり、「警察に相談する」などの言葉を使うと、逆上するケースもあるため言葉選びは慎重におこなう必要があります。
どの言葉が相手に効くかはケースバイケースであり、オールマイティーな言葉はありません。相手がどのような性格なのか、どのような行為をおこなっているかで言葉選びが変わります。
適切な言葉を知るためにも、警察や専門機関に相談してみましょう。
こちらもチェック
ストーカーまがいの行動の対処方法
警察に相談する
特定人物からのストーカーまがいの行動に悩んだときは、まずは警察に相談しましょう。警察は、状況に応じて次のような対応・対策をおこないます。
- 被害例に応じた防犯対策のアドバイス
- 自宅・職場周辺のパトロールの強化
- 相談者から110番通報があった場合、現場に向かう警察官、また最寄りの警察署に必要な情報をスムーズに指令する「110番緊急通報登録システム」への登録
- 住民票閲覧制限
また加害者に対しては、状況に応じて次のような措置をおこなうことが可能です。
- ストーカー行為、あるいはストーカーまがいの行動・嫌がらせをやめるよう「警告」
- 上記の行動に対し「禁止命令」
- 禁止命令を無視した行為、または危険な行動をおこした場合「逮捕」
具体的な証拠や特定人物の名前・連絡先があれば提供しましょう。もちろん、証拠や情報が無い場合も相談は可能です。
被害が拡大しないためにも、早い段階で相談することをおすすめします。
弁護士・探偵事務所に依頼する
警察に相談すると同時に、目的や対策に応じて弁護士・探偵事務所への依頼も検討しましょう。弁護士や探偵事務所ができることは次の通りです。
- 弁護士ができること…ストーカー行為をやめるよう要請する「内容証明」の送付、特定人物への直接交渉、警察への同行、慰謝料や損害賠償の請求など
- 探偵事務所ができること…特定人物の特定、証拠集め、GPSや盗聴器などの発見調査、被害例に応じた防犯対策
費用は弁護士の場合は5~30万円程度、探偵事務所だと調査員2名1時間2万円~3万円程度です。
どちらも相談・見積りは無料でおこなっているところが多いので、まずは簡単な相談からはじめてみてはいかがでしょうか。