実行する前に!仕返しは正当防衛にはならない
嫌がらせに対する仕返し行為をおこなう前に、まずは「正当防衛」について知っておきましょう。
正当防衛とは
急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
(引用元: 刑法36条1項|e-Gov)
上記の「やむを得ず」というのは「とっさに反撃した」を意味します。
極端にいうと「相手が武器をもって襲ってきたから、自身の身を守るために武器で反撃した」などといった場合が正当防衛に当たると考えて良いでしょう。
よって、嫌がらせに対し用意周到で仕返しをおこなうことは正当防衛には該当しません。
やり過ぎた仕返しは犯罪行為になることがあるため、十分に注意しておきましょう。
嫌がらせ犯に試したい!法律に触れない仕返し
証拠が残らない仕返し10選
- すれ違ったときに舌打ちをする
- 視線を送り、目が合ったら即座にそらすことを繰り返す
- にらみつける
- 目を合わせない
- 笑顔で挨拶し気にしない素振りで明るくふるまう
- 話しかけられても無視する
- 信用できる人たちを味方につけ、「誰だか分からないが嫌がらせをおこなう人物がいる」と相談する
- 満員電車にまぎれて強い力で押す
- 偶然を装い足を踏んだり、ぶつかったりする
- 仕事や勉強面で自身の評価を上げ、嫌がらせ犯よりも上位にたつ
法に触れない、また証拠が残らない仕返しには上記のようなものがあります。
いずれもお金がかからず、また簡単におこなうことができるのがメリットです。
嫌な仕返しだけを繰り返すのではなく、「ときには笑顔で接する」などの良い行為を取り入れランダムな接し方をするのも相手を揺るがす大事なポイントとなります。
くれぐれも自身の嫌な行動を写真や動画などで撮影されないようお気を付けください。
隣人や住所を知っている場合の仕返し5選
- 近所に「誰だか分からないが悪さをする人物がいる」と噂を流す
- 受忍限度の範囲で騒音をたてる
- 偶然を装って待ち伏せをし存在をアピールする
- 嫌がらせ犯の自宅前に砂糖水(または飴など)をまき害虫を呼び寄せる
- 自治会の活動やボランティアに参加するなど自身の評価を上げる
嫌がらせ犯が隣人の場合や近所に住んでいるとき、また嫌がらせ犯の住所を知っているときは上記のような仕返し方法もあります。
前述したように、こちらも毎日嫌な行為をおこなうのではなく、笑顔で挨拶するなどの良い行為をランダムに取り入れるほうが有効です。
写真や動画などの記録を取られると、自身が被害者から加害者になり下がる恐れもあるため十分に注意しましょう。
【注意】合法もやり過ぎると違法になる
法に触れない合法の仕返しでも、嫌がらせ犯の心身に悪い影響が出たり、しつこく繰り返しおこなってしまうと違法行為に該当することがあります。
該当する可能性がある罪名
- 迷惑防止条例…つきまとい、盗撮、痴漢、待ち伏せ、うろつき、監視、進路妨害 など
- 名誉毀損罪…他者の名誉を傷つける、社会的評価を低下させる など
- 侮辱罪…他者を侮辱する発言や書き込みなどをする など
- 住居侵入罪…他者の敷地内に侵入する行為
- 器物損壊罪…他者の持ち物を損壊する行為
いくら嫌がらせを受けていたとしても、自身が被害者から加害者(犯罪者)になってしまっては元も子もありません。
法律ギリギリの嫌がらせと、違法の境界線はあいまいなところがあります。
やり過ぎて違法行為に該当しないよう、また証拠を取られて犯罪者に仕立て上げられないよう、仕返しをおこなう際は最大限の注意を払いましょう。
【推奨】嫌がらせに悩んだら専門家に相談を
「仕返しをしても効果がみられない」
「仕返しや復讐はしたくない」
「嫌がら犯からの報復が怖い」
「そもそも犯人が誰だか分からない」
上記のような場合は、公的機関や専門家に相談して具体的なアドバイスをもらいましょう。
本章では、嫌がらせに悩んだときの相談先について紹介していきます。
相談先1. 公的機関(警察・市町村役場)
自宅に対する嫌がらせは、公的機関である警察、または市町村役場への相談が有効です。
まず、警察に介入してもらうことで得られるメリットを紹介しましょう。
- パトロールの強化
- 該当者に聞き取り調査
- 該当者に警告
嫌がらせからのストレスで健康被害がでている場合は傷害罪に、また玄関の壁に落書きをされたり、車や自転車のタイヤをパンクさせられたりしている場合は、器物損壊罪が成立する可能性があります(後述「相談先2. 弁護士事務所」参照)。
警察に詳しい事情を説明し、適切な処置を取ってもらうよう働きかけましょう。
直接警察に出向くのが難しい場合は、電話相談ダイヤル「#9110」での相談も可能です。
もしも嫌がらせが近隣住民にも悪影響を及ぼしている場合、または地域全体に関わる嫌がらせの場合は、市町村役場に相談することで解決に至るケースもあります。
住居がアパートやマンション、借家の場合は、管理会社へ相談するのも忘れないようにしましょう。
いずれにせよ、相談する際は嫌がらせの証拠や記録が必要です。
監視カメラを仕掛けたり、探偵事務所に相談(後述「相談先3. 探偵事務所」参照)するなど、確実な証拠と記録を獲得しましょう。
相談先2. 弁護士事務所
嫌がらせを受けたことにより心身に悪影響が出たり、物を壊されたり汚されたりした場合は、慰謝料や損害賠償を請求できることがあります。
自分が受けている嫌がらせは慰謝料や損害賠償が請求できるのか、判断に迷ったときは弁護士事務所に相談しましょう。
弁護士事務所を通じて慰謝料、または損害賠償を請求する流れは、次のようになります。
- 弁護士事務所から嫌がらせ犯宛に内容証明郵便を送付する
- 弁護士が仲介に入り示談交渉をおこなう
- 示談交渉がまとまらなかった場合は民事調停を申し立てる
- 民事調停が成立しなかった場合は訴訟を起こす
嫌がらせによる慰藉料や損害賠償額は30〜300万円が相場になります。
ただし、弁護士に依頼すると、着手金+成功報酬として20〜100万円程度の支払いが必要です。
まずは弁護士事務所の無料相談会、または法テラスなどを利用し、自分のケースが慰謝料や損害賠償請求に該当するか相談してみることからはじめましょう。
相談先3. 探偵事務所
嫌がらせ犯が誰だか分からないときや嫌がらせの証拠や記録がとれない場合は、探偵事務所に相談しましょう。
探偵は調査のプロであり、嫌がらせ犯の特定や確実な証拠の獲得が可能です。
探偵事務所によっては有資格者のカウンセラーが在籍していたり、嫌がらせ被害に特化した弁護士と提携していたりなど、調査以外のサポート体制を整えているところも多く存在しています。
調査費用は調査にかかった期間や難易度によって異なりますが、だいたい10〜60万円が目安。
ほとんどの探偵事務所で無料相談・無料見積もりをおこなっていますので、まずは気軽に相談し調査期間や費用についてお尋ねしてみましょう。
まとめ
例え些細なものであっても、嫌がらせを受け続けていると心身に悪影響を及ぼすことがあります。
早期に嫌がらせを終わらせるためには、我慢したりスルーしたりするのではなく、何かしらのアクションをおこなうことが重要です。
本記事ではアクションのひとつとして「法に触れない範囲で仕返しをおこなう方法」を紹介しましたが、すべてが嫌がらせ犯に有効だとは限りません。
嫌がらせに悩んだら、早い段階で公的機関や弁護士、探偵事務所に相談することをおすすめします。
嫌がらせを終わらせるには、原因となっている事柄を解決するのが1番の近道です。
心身が壊れる前に専門家の力を借り、原因の究明と根本的な解決に向けて動き出しましょう。