隣人は精神疾患を抱えている?怖いと思ったときの対策・相談窓口

隣人は精神疾患を抱えている?怖いと思ったときの対策・相談窓口

2024.12.16 / # 嫌がらせ調査

数ある近隣トラブルのなかでも、特にデリケートに対応したいのは相手が精神疾患を抱えているケース。 対応を誤ると思いもよらない事件に発展することがあるため、慎重に行動することが重要です。 本記事では、精神疾患を抱えている隣人との付き合い方について考えるとともに、トラブルがあった際の相談窓口やトラブルを防ぐ方法について解説していきます。 精神疾患がある近隣住民に困っている人、またトラブルを未然に防ぎたいと考えている人はぜひ参考にされてください。

隣人は精神疾患を患っているかも?具体的な事例を解説

近隣トラブルの家の模型が置いてある様子

妄想・幻聴・幻覚があるタイプはトラブルに発展しやすい

精神疾患にはうつ病や適応障害など多くの種類がありますが、特に近隣トラブルに発展しやすいのは「妄想」「幻聴」「幻覚」の症状がある統合失調症の患者さんだといわれています。

  • 誰かが自分の命を狙っている
  • 隣人に監視されている
  • 周囲の人たちが自分の悪口を言っている
  • 隣人がいつも音をたてている。嫌がらせに違いない。
  • 近隣の人たちがゴミを放置するから異臭・悪臭がする
  • 隣人が電磁波攻撃をしてくる
  • 近隣の人たちが集団で嫌がらせをしてくる。このままだと自分の命が危ない。

上記のように「思い込みが激しい」「自身の考えを正当化」「自分は被害者」という傾向があり、話が通じにくいのが特徴です。

気を付けておきたいのは、感情が高まったときに攻撃的になるタイプの人がいること。

ほとんど面識がない関係でも、向こうは「嫌がらせをしてくる悪い人」と敵対視しているため、怒鳴ったり、家に侵入しようとしたり、危害を加えてくることがあります。

精神疾患が原因で起きた事件

【京都アニメーション放火殺人事件】

京都アニメーション第1スタジオ(京都市伏見区)に放火して36人を殺害したなどとして、殺人などの罪に問われた被告に対し、京都地裁は2024年1月25日、死刑を言い渡しました。 (中略)被告は、京アニの女性監督とネットでやり取りして恋愛しているという思い込みをし、自作の小説を京アニに盗まれたと主張していました。

また、常に「ナンバー2」と彼が名付けた得体(えたい)の知れない人物から監視されていたとも主張しています。

(中略)被告は妄想が深刻になる前に、下着窃盗やコンビニ強盗を起こしていました。人に恨みを抱きやすかったり、粗暴だったりといった反社会的な傾向があったのだと思います。本人の価値観やパーソナリティーに妄想的な思考が前面に出る前から反社会的な傾向があり、こうした要因に精神障害が組み合わさって、今回の事件に至ったとみるべきです。

(引用元:朝日新聞デジタル「京アニ事件どう見る 犯罪心理学者に聞く「精神障害の影響、考慮を」」)※一部抜粋

戦後最悪の被害者を出した京アニの事件は記憶に新しい人も多いでしょう。

被告は犯行の理由について「自分の小説が盗まれたからやった」と話しているものの、そのような事実は確認できておらず被告の被害妄想だとされています。

【熊谷連続殺人事件】

埼玉県熊谷市で6人が殺害された事件で、強盗殺人などの罪に問われた被告の裁判員裁判第11回公判がさいたま地裁であり、被告を精神鑑定した医師が被告の事件当時の精神状態などに言及した。

医師は「(被告は)犯行時、統合失調症にかかっていた」と証言。遺体をクローゼットに隠したことなどから「一部は犯罪をしたという認識があったことを疑わせる」と指摘した一方で、「どこまで犯罪としての認識があったかは慎重な判断が必要」とした。

(引用元:産経新聞「精神鑑定の医師「被告は犯行時、統合失調症に」」)※一部抜粋

こちらは小学生2人を含む男女6人が犠牲になった事件。

被告は以前から嫌がらせを受けているという被害妄想を抱えており、精神疾患による犯行と認定され死刑から無期懲役に減刑されています。

【淡路島5人殺害事件】

兵庫県洲本市(淡路島)で男女5人を刺殺したとして殺人罪などに問われた被告について、最高裁第3小法廷は被告側の上告を棄却する決定をした。

死刑とした1審神戸地裁の裁判員裁判判決を破棄し、無期懲役とした審大阪高裁判決が確定する。

責任能力の有無や程度が主な争点だった。1審判決は、向精神薬の大量摂取による薬剤性の精神疾患だったとする一方、「疾患は大きな影響を与えていない」として完全責任能力を認め、求刑通り死刑とした。

一方、2審判決は、新たに実施した精神鑑定に基づき「妄想性障害が非常に悪化」していたと判断。

「被害者が長年攻撃してきていることに対する報復」などという動機は「妄想でしか説明できず、妄想性障害の強い影響を受けていた」として、心神耗弱状態だったと認定した。

その上で死刑が相当としつつ、心神耗弱者の刑を減軽するという刑法の規定に基づき、無期懲役とした。

(引用元:朝日新聞デジタル「洲本5人殺害事件、弁護側が上告 死刑回避は確定」)※一部抜粋

淡路島で男女5人が犠牲になったこちらの事件。

事件当時、被告は精神刺激薬を長期間服用した副作用から薬剤性精神疾患を罹患していました。

事件前にはSNSに「政府が電磁波攻撃をしてくる」「近隣住民は政府の陰謀に加担するサイコテロリスト」などと書き込むなどの異常行動もあり、裁判では責任能力の有無や程度が争点となりました。

精神疾患をもつ隣人との付き合い方は?

精神疾患には多くの種類があり、症状や程度もさまざま。

コミュニケーションを取ったほうがいい場合もあれば、そうではないこともあり「こう接するべきだ」「こう付き合うべきだ」など一概にはいえないのが難しいところです 逆にやってはいけないことは、無意味に病気や言動を非難したり、わざと大きな音をたてて脅かしたり、不安をあおるような発言をしないこと。

接するときには穏やかな表情と言葉遣いを意識し、相手には相手の正義があることを理解するようにしましょう。

隣人の精神疾患を理解することも大切ですが、万が一の場合に備えて自身の身を守る術を知っておくことも重要です。

次章からは精神疾患を患っている隣人とのトラブルを防ぐ方法について解説していきます。

隣人は精神疾患を患っている?自分でできる対策

頭を抱えて悩んでいる中年男性の様子

迷惑行為の録音・録画・証拠保全

隣人が精神疾患を抱えている可能性が高く、かつ迷惑行為に困っている場合は、いざというときのために証拠を取っておきましょう。

たとえば「大きな声で怒鳴り散らす」「独り言がうるさい」「ドアや壁を叩いてくる」などの行動がある場合は録音・録画をするのがおすすめです。

「監視してくる」といった場合も、相手を刺激しないよう配慮しながら録画をしておきましょう。

また、ゴミを投げ入れてくるなどの嫌がらせがあるときは写真を撮影し、日時を記録しておくのが有効です。

セキュリティの強化・安全の確保

可能な範囲でセキュリティの強化、またはセキュリティ意識をおくことも大事な対策です。

  • インターフォンがなってもすぐに扉を開けない。音声通話を利用する。
  • 防犯カメラを設置する
  • 防犯ブザーを持ち歩く
  • セキュリティ会社にホームセキュリティを依頼する
  • 相談窓口を把握しておく(相談窓口については後述します)

上記のような対策は、日々の防犯にも役立ちます。

できる範囲で取り入れておきましょう。

引っ越しをする

アパートや賃貸マンション、借家などに住んでいるのであれば、引っ越しを検討するのもひとつの方法。

引っ越し費用がかかるのがデメリットですが、ストレスの緩和はもちろん、トラブルの回避に繋がるのはお金には代えられないメリットといえます。

残念ながら、相手が精神疾患を抱えている場合だと引っ越し費用や精神的な苦痛に対する慰謝料の請求が難しいのが現状です。

「自分の身を守るための費用」だと前向きに捉えることをおすすめします。

精神疾患をもつ隣人・近隣住民に困ったときの相談窓口

頭を抱えて悩んでいる女性の様子
隣人が精神疾患を抱えている可能性が強いときは、第三者の支援・介入が必要不可欠です。

トラブルが大きくなる前に、また状況を悪化させないためにも、一人で悩まずに適切な窓口に相談しましょう。

相談窓口1. 警察

警察は事件が発生しないと動かないイメージを持たれがちですが、状況によっては早急に対応してもらえることもあります。

  • 緊急性が高いときは110番通報
  • 事前に相談したいときは証拠を持って警察署へ相談にいく
  • 警察の相談専用ダイヤル「#9110」で相談する


(参考元:警視庁「相談窓口について」

警察に相談するときに役に立つのが、前述した「迷惑行為の録音・録画・証拠保全」です。

迷惑行為に悩まされていることが証明できるよう、しっかりとした証拠を保全しておくことをおすすめします。

相談窓口2. 自治体

各自治体の生活課に相談すると、解決に向けたアドバイスが貰えることがあります。

状況次第では行政の介入、または保健所をはじめとする各種窓口に繋げてもらうこともできるでしょう。

相談窓口3. 管理組合・オーナー

アパートやマンションなどの集合住宅に住んでいる場合は、管理組合やオーナーに相談してみましょう。

特に、同じような苦情が相次いでいる場合、また共有スペースにまで被害が及んでいる場合は早めに動いてもらうことが期待できます。

相談窓口4. 法律相談センター「ひまわりお悩み110番」

「ひまわりお悩み110番」は、日弁連(日本弁護士連合会)が設立している法律に関する相談窓口。

近隣トラブルはもちろん、職場や学校などさまざまなトラブルに対し、法的な観点からアドバイスや解決策を提案してもらえます。

電話番号は全国共通「0570-783-110」

必要に応じて適切な弁護士を紹介してもらうことも可能です。

参考元:日本弁護士連合会「ひまわりお悩み110番」

相談窓口5. 探偵事務所

「徹底的な証拠を残したい」「隣人がどんな人か一度調べておきたい」

というとき、または警察や自治体、法律センターなどでも解決できないときは、探偵事務所に嫌がらせ調査の相談・依頼をするのがおすすめです。

嫌がらせ調査では次のような依頼に対応しています。

  • 留守中に隣人が我が家に嫌がらせをしてくることが多い。嫌がらせをしている瞬間を撮影してほしい。


  • 隣人の騒音や声がうるさい。音量測定をしてほしい。


  • 近隣住民から嫌がらせをされている。犯人を特定したい。


  • 隣人の迷惑行為に悩んでいる。警察や行政を動かすために徹底的な証拠を押さえたい。


  • 警察に相談に行きたい。同行してほしい。

もちろん、隣人が精神疾患を抱えていなくても相談・依頼することも可能です。

費用相場は依頼内容によって異なりますが、目安は10万円〜程度。

多くの探偵事務所で無料見積もり相談会をおこなっていますので、まずは無料の範囲から利用してみましょう。

まとめ

近隣トラブルにはさまざまなものがありますが、なかでも相手が精神疾患を患っているときは慎重に対応することが必須です。

挨拶程度の関係であっても、相手は妄想・幻覚・幻聴などにより「相手は敵、自分は被害者」と思っていることがあり、ときに攻撃の対象になることもあるため厳重な注意が必要です。

まずは自分でできるセキュリティ対策をおこない、トラブルに遭遇したとき、またはトラブルの予兆がある場合は警察・自治体・管理組合・法律相談センター・そして探偵事務所などの各種相談窓口に相談しましょう。

賃貸の場合は引っ越しを視野に入れるのも有効です。 「何かあってからでは遅い」ことを念頭に置いて、然るべき対策をおこなうことを強くおすすめいたします。

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