そもそもどこまで?相続人の範囲
相続人の範囲とは
被相続人の遺言がない場合、相続人の範囲は次のように定められています。
- 絶対的な相続人:被相続人の配偶者
- 第1順位:直系卑属(被相続人の子供・子供が死亡しているときは孫)
- 第2順位:直系尊属(被相続人の両親・祖父母)
- 第3順位:直系卑属・尊属がいない場合は被相続人の兄弟(被相続人の兄弟がいないときはその子供)
参考:e-Gov「民法 第五編 相続」
被相続人に配偶者と子供がいる場合は【配偶者+第1順位である子供】が相続人です。
子供がいない場合は【配偶者+孫】、子供も孫もいないときは【配偶者+被相続人の両親・祖父母】、配偶者がいない場合は【直系卑属→直系尊属→被相続人の兄弟(もしくはその子供)】という順番になります。
離婚した配偶者・内縁者・その子供は相続人になる?
離婚した夫や妻は、配偶者ではないため相続人には含まれません。
しかし、両親が離婚しても【被相続人の子供】は相続人に含まれます。
同様に内縁者も相続人ではありませんが、内縁者とのあいだに生まれた【被相続人が認知している子供】は相続人です。
認知していない場合は、相続人には含まれないため注意しましょう。
被相続人の戸籍関係から相続人の範囲を確認する
相続人は、被相続人の出生〜死亡までの記録を記載した戸籍謄本で把握することができます。
戸籍謄本には被相続人の婚姻歴や離婚歴、養子縁組や内縁者とのあいだに生まれた子供の認知歴などが記載されており、どのくらいの相続人がいるのか、人数・範囲を把握することが可能です。
2024年(令和6年)3月1日から『戸籍の広域交付制度』が施行
これまでは、被相続人の本籍地がある市町村役場でなければ戸籍謄本を請求することはできませんでしたが、2024年(令和6年)3月1日から『戸籍の広域交付制度』が施行されることによりどの役場でも戸籍謄本が請求・取得できるようになりました。
ただし、次のような場合は注意が必要です。
- 窓口で請求・取得できるのは被相続人の配偶者、子供などの直系卑属、父母などの直系尊属のみ
- 被相続人の兄弟姉妹・叔父(伯父)・叔母(叔母)は請求・取得不可
- 請求は窓口でのみ可能であり、郵送や代理人による請求は不可
- 電子データ化されていない一部事項証明書・個人事項証明書などは不可
もしも戸籍謄本の請求・申請ができない間柄である場合は、弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
居場所や連絡先が分からない相続人を探す6つの方法
「被相続人に離婚歴があり、前の配偶者とのあいだに子供がいる」
「被相続人の子供が家出・失踪し居場所が分からない」
「浮気相手とのあいだに子供が生まれており、被相続人が認知していることが判明した」
相続人の範囲を調べているうちに、居場所や連絡先が分からない相続人の存在を知ることもあるでしょう。
前述したように、相続人がひとりでも欠けると遺産分割協議が成立しません。遺産分割協議そのものに期限はないものの、相続開始から10カ月以内に相続税の申告をおこなう必要があるため、できるだけ早く相続人全員と連絡を取る必要があります。
ではどうしたら居場所や連絡先が分からない相続人を探し出せるのか、本章では相続人を見つけ出し連絡を取る方法について解説していきます。
被相続人のスマホを調べる
被相続人が亡くなっている場合は、スマホを調べることで連絡先が分かる可能性があります。
もしもスマホにロックがかかっており、パスワードが分からない場合は、契約しているキャリアやデジタル遺品専門業者に相談してみましょう。
被相続人の知人に尋ねる
身内や親戚が居場所や連絡先を知らない場合でも、被相続人の知人が把握している可能性も考えられます。
デリケートな問題の場合は尋ねづらいかもしれませんが、被相続人の尊厳を保持しつつ親しかった友人を中心にお尋ねしてみるのもいいかもしれません。
インターネットで実名検索
相続人の名前が分かるときは、インターネットで実名検索してみましょう。
インターネットで検索することにより、本人のSNSのアカウントや働いている職場、趣味のサークルなどが見つかる可能性があります。
もしも本人と思われる人物を見つけたら、直接ダイレクトメッセージを送ったり、ホームページ内にある問い合わせ先から連絡を取ってみましょう。
「ネットの電話帳(旧・住所でポン)」で探す
「ネットの電話帳(旧・住所でポン)」とは、個人・法人・企業の連絡先を調べることができるアプリです。
NTT東日本・NTT西日本が発行していた「ハローページ」に掲載されていたデータに限りますが、6億件以上の名前・電話番号・住所を閲覧することができます。
このアプリの注意点は、全国民のデータが掲載されているわけではないということと、無料版と有料版の2つのコースがあるということです。
- 無料版…2000年・2007年・2012年度版のハローページ に記載されていたデータ
- 有料版…上記を除いた1993〜2019年のデータ(スマホ向けアプリの場合、料金は月額770円)
有料版を利用するときは、必ずしも本人にたどり着くわけではないことを承知の上で利用するようにしましょう。
人探し掲示板で探す
人探し掲示板とは、いわゆる尋ね人を探すサイトです。
「尋ね人」「人探し掲示板サーチズ」「人探し掲示板Z-Z BOARD」など複数のサイトがあります。
使い方の利用手順は次の通りです。
- 会員登録をする(登録不要のサイトもある)
- 探したい相手の詳細や必要事項を書き込む(名前・探している理由・有力な情報を寄せてくれた人への謝礼金など)
- 情報が寄せられるのを待つ
※サイトによって使い方は多少異なります。
とても便利なサイトですが、一方で寄せられた情報の真偽は分かりません。
また相手のフルネームをネット上に公開することになるため、デジタルタトゥーやプライバシー侵害になる恐れがあるため注意が必要です。
住民票で探す
原則として他人の住民票の請求・閲覧はできませんが、相続関係である場合は必要資料を提示することで住民票や戸籍の附票(住所の履歴)が受け付けられることがあります。
プライバシーなどの観点から必ずしもできるとは限りませんが、まずは市町村役場に相談してみましょう。
もしも相続人の住所が判明すれば、手紙などで交渉ができる可能性があります。
こちらもチェック
相続人探しは探偵への相談・依頼がおすすめ
最短・効率よく相続人を探すには探偵への依頼がベスト!
居場所や連絡先が分からない相続人を最短で探し出したいときは、探偵事務所への相談・依頼も視野にいれることをおすすめします。
特殊なスキルや独自のネットワークをもつ探偵であれば、短期間、かつ効率よく相続人を探し出すことが可能です。
自分で調査する時間がない人、またできるだけ早く相続人と連絡が取りたい場合は、探偵に相談・依頼することを強くおすすめします。
探偵に依頼したときの費用
探偵に人探しを依頼したときの費用は、10〜30日間の捜査で15〜50万円程度が相場です。
捜査の難易度によっては上記の金額以上、もしくは金額以下になるケースもあるため、まずは探偵事務所が実施している無料相談・無料見積りを利用してみましょう。
「話だけでも聞いてもらいたい」「予算内で調べられるか相談してみたい」「秘密保持でおこなってほしい」など、心配・不安・気になることは探偵事務所の無料相談でお尋ねください。