教員採用試験に身辺調査が導入される?日本版DBSや欠格事由について解説

教員採用試験に身辺調査が導入される?日本版DBSや欠格事由について解説

2024.09.13 / # 身辺調査

公立学校の先生になりたいときは、教員採用候補者選考試験(以下、教員採用試験)に合格するのが必須条件。 しかし、どんなに筆記・実技・面接に自信があっても「万引きで捕まったことがある」「過去にパパ活をしていた」「身内に罰金刑を受けた人がいる」という人は、教員採用試験に合格できるか不安になっていることでしょう。 本記事では、自身の過去や身内の犯罪歴等を調べられる「身辺調査」は教員採用試験でおこなわれているのか。 また近年中にスタート予定の「日本版DBS」、教員採用試験の受験不適格者を定める「欠格条項(事由)」について分かりやすく解説していきます。 教員採用試験の受験を考えている人はもちろん、私立校教員や塾講師などの「先生」を目指している人はぜひ参考にしてください。

教員採用試験には身辺調査はおこなわれるのか

男性が顎に手を添えて考えている様子

身辺調査とは?

身辺調査とは、対象者の素性や特性、普段の行動や過去の情報を調べる調査です。

別名「身上調査」「身元調査」「素行調査」「バックグラウンドチェック」とも呼ばれ、おもに事業主や代表者が探偵事務所・興信所・データ調査会社に依頼し、プロの手によって調査が進められていきます。

【身辺調査で調べられるおもな内容】

  • 本名・住所・出身地
  • 学歴・職歴・過去のバイト先
  • 学歴・経歴詐称の有無
  • 前職での評価・評判
  • 人間関係や金銭面でのトラブル
  • 交友関係
  • 反社会的勢力との繋がり
  • SNS調査(過去の投稿、炎上履歴など)
  • 犯罪歴・前科
  • 家族や身内の環境・犯罪歴 など

どこまで調べるのかは依頼主によって異なりますが、一般的に経歴詐称や過去の職歴、反社会的勢力との繋がりや前科、SNS調査などを調べる企業が多いようです。

近年は大手企業や外資系企業、銀行などの金融関係など、さまざまな企業で採用時に身辺調査が取り入れられています。

教員採用試験には身辺調査がある?

結論から言うと、現時点では教員採用試験に身辺調査が取り入れられているか否かは公表されていません。

公務員のなかでは、公安関係(警察・自衛隊)の受験者においては身辺調査が実施されるといわれていますが、これが合否にどう影響するのかも明らかにされていないのが実状です。

ただし、教員採用試験については近年中に身辺調査の一種「日本版DBS」が導入されることが決まっています。

新たな制度・日本版DBSとはどういったものなのか、次章で詳しく見ていきましょう。

教員採用試験に影響大!身辺調査の一種「日本版DBS」とは?

調査教材に虫眼鏡が置いてある様子

身辺調査の一種「日本版DBS」とは

日本版DBSは、イギリス発祥の「DBS(Disclosure and Barring Service)=犯罪歴や前科の開示・犯罪証明管理・前科がある人の就業を制限する制度」を参考につくられた新しい制度です。

正式名称は「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律案」、通称は「こども性暴力防止法」や「日本版DBS」。

子どもを性犯罪・性暴力から守ることが目的であり、子どもに接する職業・事業・施設に特定性犯罪の前科者の就業を制限する内容となっています。

日本版DBSが対象になる職業・事業・施設

日本版DBSが対象となる職業・事業・施設は「義務化」と「認定制」に分かれています。

【日本版DBSが義務化される職業・事業・施設】

小学校・中学校・高校・幼稚園・保育所・児童養護施設・障害児入所施設・児童発達支援所など

【認定されれば日本版DBSが導入できる職業・事業・施設】

認可外保育所・放課後児童クラブ(放課後預かり)・インターナショナルスクール・学習塾・スポーツクラブ・スイミングスクール・ダンス教室など認定制の職業・事業・施設は「こども家庭庁」に参加する旨を申請し、認定されれば日本版DBSを導入することが可能です(規模や職員の数、相談体制の整備など一定条件のクリアが必須)。

「日本版DBS認定施設」とアピールすることで、利用者に安全・安心な施設であることを周知してもらう広告効果も期待できるでしょう。

日本版DBSの対象者・開示される情報・対象期間

日本版DBSの対象になる人は「新規採用希望者」と「現職員」です。

開示情報や対象期間については下記のようになります。

【開示される情報】

  • 過去にわいせつ罪や不同意性交罪など、特定性犯罪で有罪判決を受けていないか
  • 痴漢・盗撮など、条例違反で有罪判決を受けていないか ※不起訴処分(起訴猶予)や、被害者とのあいだで示談が成立し立件に至らなかった場合は対象外です。

【対象となる期間】

  • 刑の執行終了から20年
  • 執行猶予の場合は裁判で確定された日から10年
  • 罰金刑の場合は刑の執行終了から10年

参考文献: こども家庭庁「こども関連業務従事者の性犯罪歴等確認の仕組みに関する有識者会議報告書
NHK政治マガジン「1からわかる「日本版DBS」 法案閣議決定 性犯罪歴を確認 子どもを守る

事業主は対象者の性犯罪歴について「こども家庭庁」に照会申請をおこない、もしも性犯罪歴があった場合は不採用、または子どもと接する業務以外に配置させるなどの処置をおこなわなければなりません。

日本版DBSはいつからはじまる?

日本版DBSは2026年度にスタートする予定です。

当然のことながら、施行されてから数年間はさまざまな課題・改善点がみえてくることでしょう。

すでに現段階でも「ストーカー犯や下着ドロボーを開示情報に入れるべき」「日本国憲法第22条・職業選択の自由に反していないか」など、さまざまな声が上がっています。

施行後にみえてきた課題点や改善すべきところ、また現場から寄せられた声をもとに原案をブラッシュアップし、数年後には新しい日本版DBSの施行が期待されるところです。

前科持ちは受験不可?教員採用試験に影響する「欠格事由(欠格条項)」

手錠をかけられている様子
ここまで日本版DBSについて紹介してきましたが、「自分は性犯罪を侵していないから大丈夫」「身内にも性犯罪者はいない」と安心している人もいるかもしれません。

しかし日本版DBSに該当していなくても、教員や公務員に不適格な人を定める「地方公務員法第16条 欠格条項(通称・欠格事由)」に該当した場合は受験不可となることはご存知でしょうか。

欠格事由ではどんなことが定められているのか、教員採用試験や公務員試験への影響について詳しく見ていきましょう。

教員採用試験に影響する欠格事由とは

欠格事由とは、一般的に「資格を与えるのに相応しくない」「不適格」とされる人・行動を示すものです。

公立学校の先生を含む公務員の欠格事由については、地方公務員法で次のように定められています。

地方公務員法第16条(欠格条項)

一 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者 二 当該地方公共団体において懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者 三 人事委員会又は公平委員会の委員の職にあつて、第六十条から第六十三条までに規定する罪を犯し、刑に処せられた者 四 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者

引用文献:e-Gov 地方公務員法「欠格条項

わかりやすくいうと、

  • 禁固以上の刑(禁錮刑・懲役刑・死刑)に処せられて、刑期が終わっていない人(服役中、仮釈放中、執行猶予中など)
  • 懲戒免職の処分を受けて2年経っていない人
  • 人事委員会・公平委員会の委員だった人で、第60〜63条に反した人(1年〜3年以下の懲役、100万円以下の罰金に処せられた人、またその人をほう助した人など)
  • 日本国憲法や政治関係を暴力で破壊することを主張する政党や団体を結成したことがある人、加入している(していた)者

このようになります。

欠格事由に該当する人は受験が認められないため注意しましょう。

罰金刑・パパ活・身内の犯罪も「欠格事由」になる?

罰金刑や万引きは禁固以上の刑に該当しないため、教員採用試験には影響しないとみられます。

またパパ活においても、金銭を騙し取ったりしていなければ(詐欺罪として立件されていなければ)特に問題はないと考えられるでしょう。

身内の犯罪歴もほとんどの場合は影響しないと見られますが、採用基準が公表されていないため何とも言えません。

凶悪事件や有名な事件に関わっているとき、また反社会的勢力と繋がりがあるときや、公安監視の対象になっている場合の影響は無きにしも非ずと考えられます。

まとめ

女性探偵が手を添えている様子
現時点において、教員採用試験に身辺調査が導入されているかは明らかにされていません。

しかし地方公務員法第16条の「欠格条項(通称・欠格事由)」に該当する人には受験資格がないことは確かな事実です。

また、2026年度には身辺調査の一種「日本版DBS」がスタートします。

さらに数年後には改善点を盛り込んだ「新・日本版DBS」の施行も予想されるでしょう。

これから先、受験資格や不適格者の基準は大きく変わる可能性があります。

受験予定者は制度の改正等を小まめにチェックし、自身に影響があるか否かを確認しながら採用試験に備えるようにしましょう。

【事業主様へ】新規採用者の身辺調査・バックグランドチェックは探偵にご相談を

一般企業の事業主の方、またスタートアップ・ベンチャーの起業を予定している方のなかには「新規採用者の身辺を調査したい」「信頼できる人物か調べておきたい」「企業スパイを採用するのは避けたい」と考えておられるところも多いことでしょう。

また「日本版DBSが施行される前に、新規採用者の過去を把握しておきたい」という私立高や施設関係者もいるかもしれません。

自社や個人で調べることが不安なとき、また信憑性の高い情報を手に入れたいときは、探偵事務所や興信所の身辺調査(バックグランドチェック)を検討されるのがおすすめです。

応募者の学歴・職務経歴・履歴書の虚偽について調べることはもちろん、前職での評判や交友関係、自社に合う人物か(リファレンスチェック)などについて調べることも可能です。

多くの探偵事務所・興信所で無料見積もり相談をおこなっておりますので、まずは気軽な相談からはじめてみられることをおすすめします。

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