そもそも不法投棄とは?
日本の法律のひとつ「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(通称:廃棄物処理法)」では、廃棄物(ゴミ)について次のように定めています。
第四章 雑則 (投棄禁止) 第十六条 何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。
引用元:e-Gov 法令検索
他人の私有地に廃棄物を捨てるのはもちろん、廃棄物処理法で定められた場所以外に廃棄したり、正しい方法で処分しなかった場合もすべて「不法投棄」です。
法律で定められている限り、不法投棄は立派な犯罪になります。
不法投棄の具体例
- 他者の所有地にゴミを投げ入れる
- 道端ゴミをポイ捨てする
- 自宅のゴミをコンビニのゴミ箱に捨てる
- 家具や家電製品を空き地に廃棄する
- 産業廃棄物を山に捨てる
- 糞尿や廃油、動物の死体を海に流す など
個人や家庭から出る「一般廃棄物」、法人から出る「産業廃棄物」、いずれも勝手に捨てるのは不法投棄に該当します。
廃棄物の大きさや量などは関係が無いと考えてよいでしょう。
不法投棄は誰が処分する?
不法投棄の処分は、各自治体の条例に従わなければなりません。
多くの自治体では「私有地内に捨てられた廃棄物は土地の所有者が処分をおこなう」と定めており、例えば東京都新宿区の場合は次のようになります。
私有地や私道上に投棄された場合 私有地や私道上に投棄されたごみは、区の条例(新宿区リサイクル及び一般廃棄物の処理に関する条例第76条)により、その所有者または管理者が処理することになっています。
不法投棄をおこなった犯人が特定できた場合は、廃棄物の撤去や処分費用の支払いを課せらることができますが、見つからない場合は土地の所有者が撤去、ならびに処分費用を支払わなければなりません。
大量の廃棄物を投棄されると、処分にも多額の費用が掛かります。
泣き寝入りせず、適切な窓口に相談しましょう。
不法投棄の犯人探し!自分でできる3つの方法
【重要】犯人とは接触しない
これから不法投棄の犯人を探す方法を解説していきますが、もしも廃棄物を投棄をしている現場に出くわしても直接接触しないようにしましょう。
口頭で注意するなどのアクションを起こすと、犯人が激高し思いもよらぬトラブルに発展する恐れがあります。
自分の身を守るためにも、相手に見つからないようくれぐれも気を付けるようにしてください。
不法投棄の犯人を特定する方法1. 張り込み調査をおこなう
何度も同じ場所に不法投棄をされる場合は、張り込み調査をおこなうのが有効です。
張り込みをおこなう際は、夜間でも撮影できる防水機能付きの高性能カメラを準備し、犯人の顔や特徴、運搬してきた車のナンバーが撮影できるよう備えておきましょう。
ただし、1人で24時間365日張り込むのは無理があります。
- 数人で交代しながら張り込む
- 監視カメラ(夜間対応型・防水機能付き)を設置する
- 張り込むのではなく定期的に巡回する
上記のような方法を取り入れ、心身に無理が出ないよう考慮しましょう。
不法投棄の犯人を特定する方法2. 廃棄物を調べる
捨てられた廃棄物のなかに、犯人の情報が残っていることがあります。
- 個人名や企業名、住所などの連絡先が書かれているもの
- 車やバイクのナンバープレートや車体番号
- 犯人の住所や生活圏が絞り込めるもの(レシートなど)
ただし、個人や企業に結びつく名前が書かれていたとしても、その人物が犯人だとは限りません。
有力な情報のひとつにはなりますが、特定までに至らないこともあるため注意しましょう。
不法投棄犯を特定する方法3. 探偵事務所に依頼する
「不法投棄の犯人が特定できない」「現場撮影に自信がない」というときは、探偵事務所に依頼するのもひとつの方法です。
探偵は調査のプロであり、さまざまな方法を用いて犯人にたどり着くよう動いてもらえます。
探偵への相談・依頼についての詳細は、後述する「不法投棄に悩んだときの相談先」のなかにある「相談先3. 探偵事務所」を参考にしてください。
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不法投棄の犯人が捕まる確率は?
不法投棄は犯罪であり、犯罪である以上は初犯でも逮捕される可能性は十分に考えられます。
捕まった場合の刑罰は、次の通りです。
- 個人での不法投棄:5年以下の懲役、または1000万円以下の罰金、またはその両方
- 法人での不法投棄:3億円以下の罰金
- 不法投棄目的で廃棄物を運搬した場合:3年以下の懲役、または300万円以下の罰金、またはその両方
悪質であればあるほど罰金刑が高くなったり、懲役刑に科せられたりする可能性が高くなります。
不法投棄の犯人を捕まえるためには、確実な証拠が必要です。
個人での捜査に限界を感じたら、適切な窓口に相談しましょう。
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不法投棄に悩んだときの相談先
相談先1. 自治体
環境省では、不法投棄を発見した場合の相談先について次のように紹介しています。
一般廃棄物の場合は市(区)役所又は町村役場に、産業廃棄物の場合は都道府県又は政令市の保健所にご通報ください。
なお、一般廃棄物か産業廃棄物か分からない場合などは、先ず、市(区)役所又は町村役場にご相談いただくか、あるいは環境省の不法投棄ホットラインにご通報ください。
また、産業廃棄物の不法投棄については専用の窓口「産業廃棄物不法投棄情報受付専用窓口一覧」を設けています。
不法投棄は、警察ではなく自治体に相談するのが原則です。
適切なアドバイスがもらえたり、場合によっては現場の確認や巡回をおこなってくれることがありますので、まずは居住地の自治体に相談してみましょう。
相談先2. 警察
悪質な不法投棄や、廃棄されたものが危険なものだと判断した場合は警察に相談しましょう。警察に相談する際には、次の3点の提出が必要です。
- 客観的な証拠…不法投棄をしている写真や動画など、誰が見ても不法投棄をおこなっていることが分かる証拠。
- 故意であることの証拠...「ゴミを落としただけ」など本人の無意識のうちに廃棄したのではなく、故意に廃棄したという証拠
- 被害届の提出…不法投棄被害にあったことを申告する書類。
被害届の書類は警察でもらうことができますが、「客観的な証拠」と「故意であることの証拠」は自分で用意しなければなりません。
廃棄されたものの写真や動画、廃棄された日時が分かるもの、監視カメラの映像などを準備しておきましょう。
ここで注意しておきたいのは「警察は不法投棄以外にも、複数の事件や事故案件を抱えている」ということです。
どうしても重大な事故・事件の捜査が優先となるため、不法投棄の捜査は後回しにされる可能性があることを視野に入れておいてください。
相談先3. 探偵事務所
犯人が特定できないときは、警察や自治体に相談したうえで探偵事務所に相談してみましょう。
探偵は調査のプロであり、張り込み調査や聞き込み調査、犯人と思われる人物の尾行調査など、状況に最適な方法で犯人の特定や証拠集めをおこなうことが可能です。
なお調査費用についてはケースバイケースとなり、調査にかかった時間や難易度により10~80万円程度が目安になります。
多くの探偵事務所では無料相談・無料見積もりをおこなっていますので、依頼の有無に限らず、まずは気軽な相談からはじめてみましょう。